国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H27年 問71解説

 問 題     

生体のエネルギー代謝に関する次の記述の㋐~㋔に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

「生体は食物に由来する糖質、タンパク質、脂肪のいずれをも代謝エネルギー源として用いるこ
とができる。代謝エネルギー源の摂取が消費よりも恒常的に多い場合、過剰量は主に ㋐ として脂肪組織に、㋑ として肝臓や筋肉にそれぞれ貯蔵される。

一方、消費が代謝エネルギー源の摂取を上回った状態では、肝臓が脂肪酸から ㋒ を産生して筋肉や他の組織に供給する。肝臓には ㋑ だけでなく、アミノ酸から新たにグルコースを合成する糖新生と呼ばれる仕組みが備わっている。

糖新生は、生体の中でもそのエネルギー要求量の全て又は大部分をグルコースに依存する ㋓ と中枢神経系にとって特に重要である。ほとんどのアミノ酸は糖新生に利用されるが、リシンと ㋔ は酸化されてアセチル-CoA にしかならないため糖新生に利用できない。」

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

㋐ ですが
脂肪組織に蓄えられるのは、主にトリアシルグリセロールです。トリアシルグリセロールは、グリセリンに 3 分子の脂肪酸がエステル結合した、単純脂質です。ジアシルグリセロールは、細胞膜から切り出されて生成される、代表的情報伝達物質の一つです。正解は 3 ~ 5 です。

㋑ ですが
過剰なエネルギーは、肝臓や筋肉において「グリコーゲン」として貯蔵されます。ガラクトースは、単糖の一種です。正解は 3 or 4 です。選択肢から、㋒ はケトン体とわかります。

㋓ ですが
エネルギー要求量の全て 又は大部分をグルコースに依存する、といえば、中枢と「赤血球」です。これにより、選択肢から、㋔ はロイシンです。ちなみに、ロイシンとリシンは、糖原性アミノ酸ではない「ケト原生アミノ酸」です。ケトン体合成や、脂肪酸合成に用いられます。

以上より、正解は 3 です。

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