国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H27年 問48解説

 問 題     

抗血栓薬に関する次の記述のうち最も妥当なのはどれか。

1. アルプロスタジルは、トロンボキサン合成酵素を選択的に阻害することによりトロンボキサン
A2 産生を抑制し抗血小板作用を示す。

2. ワルファリンは, ビタミン K 依存性凝固因子と結合し、その機能を阻害するため、経口投与
により速やかに抗凝固効果を発現するが効果の持続が短い。

3. ウロキナーゼは、フィブリンとの親和性が高いため、プラスミノーゲンからプラスミンを生成
する効果も血栓部位に選択的となっている。

4. チクロピジンはプロドラッグであり、肝臓の薬物代謝酵素により生成される活性代謝物が血
小板中のcAMP レベル低下を阻止することにより、その凝集を抑制する。

5. ヘパリンはアンチトロンビンに結合することでトロンビンの酵素活性を阻害するため、全身
の出血傾向を示す播種性血管内凝固症候群(DIC)の患者には禁忌である。

 

 

 

 

 

正解.4

 解 説     

選択肢 1 ですが
アルプロスタジルは、プロスタグランジン E1 という、血小板凝集抑制などの生理活性を有する化合物です。トロンボキサン(TX)合成酵素阻害薬ではありません。代表的な TX 合成酵素阻害薬は オザグレルです。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
ワルファリンは、服用から効果発現までに12-24時間かかります。効果が安定するには更に時間がかかります。「速やかに抗凝固効果を発現」「効果の持続が短い」という記述は明らかに誤りと考えられます。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
フィブリンとの親和性が高いのは、ウロキナーゼではなく、アルテプラーゼなどです。よって、選択肢 3 は誤りです。(類題 97-259

選択肢 4 は妥当な記述です。

選択肢 5 ですが
前半の記述は妥当です。後半ですが、禁忌ではなく、アンチトロンビン補充と併用して用いられます。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

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