問 題
紫外可視吸光度測定法に関する次の記述のうち最も妥当なのはどれか。
1. 紫外可視吸光を示す物質においては、波長およそ 800nm からおよそ 1400nm の光のエネル
ギーを吸収して電子が基底状態から励起状態へ遷移する。
2. 有機化合物の吸収スペクトルは、溶媒の種類にかかわらず化合物に固有である。
3. 極大吸収波長が、導入された置換基に影響されて短波長へ移動することを深色効果という。
4. 第十六改正日本薬局方では、層長 1cm 試料の濃度 1w/v% の溶液に換算したときの吸光度
を比吸光度という。
5. 測定装置の紫外部の光源としては、ハロゲンタングステンランプが用いられる。
解 説
選択肢 1 ですが
紫外可視吸光度測定法で用いられる光の波長は 200nm ~ 800nm くらいの範囲の光です。800 ~ 1400 ではありません。よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
溶媒の吸収もあるし、溶媒により化合物の構造が変化することも考えられます。「溶媒の種類にかかわらず固有」ではありません。よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
吸収極大波長が「長波長側」へ移動することを深色効果、もしくはレッドシフトと呼びます。短波長側への移動は「浅色効果」もしくはブルーシフトと呼ばれます。よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 は妥当な記述です。
選択肢 5 ですが
紫外部には、重水素放電管が用いられます。また、可視部の光源には、タングステンランプや、ハロゲンタングステンランプが用いられます。蛍光灯のようなランプが用いられるということです。
ちなみにセルは、基本的に石英セルが用いられます。セルには他にガラス製のセルがあります。この違いは、通過できる光の波長の範囲です。石英セルは、紫外部~可視部まで、広い波長の光を通過させます。ガラスセルは、可視部の光を主に通過させ、紫外部をあまり通過させません。
以上より、正解は 4 です。
参考)分析化学 4-1 1)
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