国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H27年 問36解説

 問 題     

合金に関する記述 ㋐ ㋑ ㋒ のうちから妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

㋐ 水素吸蔵合金は、水素と反応又は水素を結晶内に固溶することにより、大量の水素を可逆的
に取り込むことができる合金である。合金の温度を上げることによって水素を吸蔵、合金の温
度を下げることによって水素を放出させる。

㋑ 形状記憶合金は、外力で形状が変形しても、加熱によって元の形状に戻る合金である。これ
はマルテンサイト変態が可逆的で、母相が冷却してマルテンサイト相となったものが、転移点
以上に再び加熱されると、母相及びその形状に戻ることを利用している。

㋒ アモルファス合金は、金属に原子半径が極端に異なる元素が混ざると結晶格子の乱れが生じ、その乱れが極端に大きくなるよう調製したものである。格子の乱れのため磁化しにくく、高硬度である一方、脆く、耐食性に劣る。

1. ㋐ ㋑
2. ㋐ ㋒
3. ㋑
4. ㋑ ㋒
5. ㋒

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

㋐ ですが
前半の記述は妥当です。後半ですが、水素吸蔵合金から水素を放出させるためには、合金に熱を加えます。温度を下げるわけではありません。よって、㋐ は誤りです。

㋑ は妥当な記述です。
マルテンサイト変態とは、合金において結晶格子中の各原子が拡散を伴わずに協働的に移動することで、新しい結晶構造となることです。

㋒ ですが
アモルファス合金とは、合金を液体から急冷することにより作られる、非晶質の合金の総称です。前半の記述は侵入型合金についてです。また、後半ですが、高強度、軟磁性、耐食性アモルファス合金の3大特性と呼ばれています。よって、㋒ は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

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