国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H27年 問29解説

 問 題     

有機化合物のスペクトルデータに関する記述 ㋐、㋑、㋒ のうち妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

ただし 1H NMR スペクトルは重クロロホルム(CDCl3)を溶媒として測定されたものであり,化学シフトの値はテトラメチルシラン(TMS)のシグナル位置を基準とする。

㋐ 互変異性を示すアセト酢酸エチルの赤外吸収スペクトルを純液体で測定すると、ケト型の二
つのカルボニル基に由来するピークは、いずれもエノール型のカルボニル基に由来するピーク
よりも低波数側に観測される。

㋑ 酢酸エチルの 1H NMR スペクトルのシグナルは、積分強度比 1:3:3:1 の四重線が 1.2ppm 付近に、一重線が 2.0ppm 付近に、積分強度比 1:2:1 の三重線が 4.1ppm 付近にそれぞれ観測される。

㋒ ブロモシクロプロパンの 1H NMR スペクトルには、3種類のシグナルが観測される。

1. ㋐
2. ㋐ ㋑
3. ㋑
4. ㋑ ㋒
5. ㋒

 

 

 

 

 

正解.5

 解 説     

㋐ ですが
アセト酢酸のエノール型を考えると、二重結合の共役が見られるため、吸収ピークがより低波数側になると考えられます。

よって、㋐ は誤りです。


㋑ ですが

上図より、4重線が 3.5 ~ 4.5 ppm 付近、3重線が 1 ppm 付近、1重線が 2 ~ 2.5 ppm 付近に出ると考えられます。よって、㋑ は誤りです。

㋒ は妥当な記述です。環状化合物なので、cis と trans で位置関係が異なるため、3 種類の シグナルが観測されると考えられます。

以上より、正解は 5 です。

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