国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H27年 問102解説

 問 題     

適応進化に関する記述㋐~㋓のうち妥当なもののみを挙げているのはどれか。

㋐ 赤の女王仮説によれば、生物種は持続的に進化していなければ絶滅に至る。
㋑ 形質置換が起きている場合、2種の生物が同所的に生息する場合のほうが、異所的に生息する場合に比べて、ニッチ競争に関わる形質の差が小さくなる。
㋒ グロージャーの規則によれば、恒温動物では、近縁な種は寒冷な地方に生育する種ほど大型である。
㋓ ランナウェイ説は、鳥類で見られる目立ちやすい羽色など、雄の派手な形質が、生存に不利なのにもかかわらず進化したことを説明する仮説である。

1. ㋐ ㋑
2. ㋐ ㋒
3. ㋐ ㋓
4. ㋑ ㋒
5. ㋒ ㋓

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

㋐ は、妥当な記述です。
赤の女王仮説とは、生物の種は絶えず進化していなければ絶滅するという仮説のことです。

㋑ですが
同所的に生息する場合、同様の資源を利用する近縁種は資源競争が激しいため、資源競争を避けるように適応した結果、より形質の差は「大きく」なるのではないかと考えられます。

㋒ ですが
グロージャーの法則とは、ある種の恒温動物の中ではより湿った環境にいるものほどより重い色をした形態が見られるというものです。「寒冷ほど大型」といえばベルクマンの法則です。ちなみに、「寒冷地ほど突出物が短い」はアレンの法則です。

㋓ は、妥当な記述です。
メスがオスのある形質を好むようになれば、その形質と、その形質を好むという嗜好がセットになって受け継がれていき、たとえ非適応的な形質であっても発達すると考える説です。例えば、初めは羽の発色と、免疫力の高さなどの関連性があったため選ばれ、その傾向がどこまでも発達したため、とんでもなく華美な羽に進化していると考えます。その形質が生存に不利になりすぎると、発達は止まると考えられます。

以上より、正解は 3 です。

コメント