国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H27年 問101解説

 問 題     

バイオームに関する次の記述のうち最も妥当なのはどれか。

1. 森林が成立する最も気温の低いバイオームがツンドラであり、トナカイなどの大型哺乳類が生息している。
2. サンゴ礁は海洋生態系の中で最も純一次生産量が多い。サンゴ礁を形成する造礁サンゴには、寄生関係にある褐虫藻が光合成産物を供給している。
3. 砂漠で多くみられる C4 植物は夜間に気孔を開いて取り込んだ CO2 をリンゴ酸として固定し,昼間はあまり気孔を開かずにリンゴ酸から CO2 を再放出することで光合成を行う。
4. 主に草原からなるバイオームにはステップとサバンナがあり、より気温が高い地域で見られるステップでは、サバンナより大型の植食性動物の多様性が高い。
5. 熱帯多雨林は、森林の構成樹種が多く階層構造が発達しており、そこに生息する哺乳類には樹上性のものが多い。

 

 

 

 

 

正解.5

 解 説     

バイオームとは、生物群系のことです。ある気候条件の地域で,それぞれの条件下での安定した極相の状態になっている動植物の集り (群集) をいいます。

選択肢 1 ですが
ツンドラ は、最暖月平均気温が 0℃ 以上 10℃ 未満の、木が生えない寒帯に属する気候区分です。「森林が成立する」は妥当ではありません。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
海洋生態系では、純一次生産量が多いのは植物プランクトンと考えられます。よって、選択肢 2 は誤りです。サンゴ礁と褐虫藻(かっちゅうそう)の関係は妥当です。

選択肢 3 ですが
気孔の開閉を昼夜で分けるのは「CAM」植物です。また、C4 植物の CO2 固定はオキサロ酢酸と考えられます。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
ステップとサバンナの違いは、サバンナの方が暖かい地域です。ステップとサバンナが逆です。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は妥当な記述です。

以上より、正解は 5 です。

コメント