国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H26年 問81解説

 問 題     

核酸の検出や測定に関する記述㋐~㋓の正誤の組合せとして最も妥当なのはどれか。

㋐ 波長 260nm の紫外線を照射すると、二本鎖 DNA に挿入した臭化エチジウムが強い蛍光を発しDNA を検出できるのは、臭化エチジウムの吸収極大が 260nm 付近だからである。
㋑ ゲノム DNA 溶液の 260nm と 280nm の吸光度の比が 1.8 より低い場合、タンパク質の混入が疑われるが、その理由は、タンパク質に含まれる酸性アミノ酸の 280nm 付近の吸収が大きいためである。
㋒ RNA も DNA と同じ 260nm 付近に吸収極大があるので、 rRNA 溶液とゲノム DNA 溶液の吸光度の値が等しい場合、濃度は等しい。
㋓ 二本鎖 DNA を熱変性させ、一本鎖 DNA とすることにより、260nm 付近に吸収極大をもつ塩基が露出し、吸光度が上がる。

㋐ ㋑ ㋒ ㋓
1. 正 正 正 誤
2. 正 誤 正 誤
3. 正 誤 誤 正
4. 誤 正 誤 誤 
5. 誤 誤 誤 正

 

 

 

 

 

正解.5

 解 説     

㋐ ですが
臭化エチジウムの吸収極大は 300 nm 付近です。260nm でも確かに強い蛍光を発しますが、これは まず DNA が吸収し、挿入されている臭化エチジウムに吸収したエネルギーが伝わることで励起→蛍光発生が起きていると考えられます。ちなみに 300nm 付近の紫外線を照射すれば、DNA に挿入されていない臭化エチジウムも蛍光を発します。よって、㋐ は誤りです。

㋑ ですが
タンパク質に含まれる「芳香族アミノ酸(チロシン、トリプトファン、フェニルアラニン)」の吸収が大きいためです。酸性アミノ酸ではありません。よって、㋑ は誤りです。

㋒ ですが
吸光度 A = kcl です。k が物質によって異なります。従って、A が同じであっても c が等しいとはいえません。よって、㋒ は誤りです。

㋓ は妥当な記述です。

以上より、誤、誤、誤、正です。正解は 5 です。

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