SI接頭語、べき、対数

SI 接頭語とは
ある単位の千倍、千分の一倍などを表す、単位につける接頭辞です。大きい単位を作る時につける代表的接頭辞は 「k(キロ)」です。103 倍を表します。小さい単位を作る時につける代表的接頭辞は「m(ミリ)」です。10-3 倍を表します。k を除き、大文字が大きくする時の接頭辞、小文字が小さくする時の接頭辞です。

k(キロ),M(メガ),G(ギガ),T(テラ),P(ペタ)
m(ミリ),μ(マイクロ),n(ナノ),p(ピコ),f(フェムト) ぐらいまでよく見かけます。表でまとめると以下のようになります。

記号 読み 指数
P ペタ 1015
T テラ 1012
G ギガ 109
M メガ 106
k キロ 103
m ミリ 10-3
μ マイクロ 10-6
n ナノ 10-9
p ピコ 10-12
f フェムト 10-15

ちなみに科学発展と共に大きい数、小さい数の扱える桁が大きくなることを反映し、2022 年には R(ロンナ:1027),Q(クエッカ:1030)、r(ロント:10-27),q(クエクト:10-30) が SI 接頭語に仲間入りする可能性があるようです。

冪(べき)とは、ab という形のことです。
先程の表、右端列の「10」の形を10 のべき乗と呼びます。◯ の部分を指数といいます。大きな数や小さな数は 10 のべき乗を用いて表されることも多いです。SI 接頭辞による表現と、べき乗表現をすらすらと書き換えられるようにしっかり理解をしておきましょう!

対数とは、指数の別表現です。
例えば 100 = 102 の 指数「2」だけを取り出したと考えます。するとこの「2」は単なる数値の2ではなく「10 という数字に乗っかっていた 2」です。そこで 10 にのっかってたよ、というのを示す「底」と、結局全体の大きさは何だったかという「真数」を用いて log(底)(真数)という表記で表すのが対数です。さきほどの 102 の 2 であれば 2 = log10100 です。もしも 9 = 32 の 2 を取り出したのであれば 2 = log39 となります。

何でこんな表し方を考えたかというと、指数で 10x = 1 や 10x = 10 なら簡単ですが 10x = 2 となると「うーん、0~1なのはわかるんだけど・・・」となります。そこでとりあえず x = log102 と表すことであっさり表せて便利な表現だからです。ちなみに log102 は、具体的には大体 0.3 という数字です。

そして、薬学において対数は、小さな数を大きな数で表せるという利点があり、多く用いられます。薬学でよく扱う μ や n が示す「10-6 」mol/L や 「10-9 」mol/L といった小さな数は、べき乗でコンパクトに表現しても「どっちも結局すごい小さいから、なんかイメージわかない・・・」という問題点があります。

そこで『小さい数を大きい数で表現しなおす』のに、指数部分のみに注目し、対数表現を用います。ただ、「log(底)(真数)」という少し長い表現を使わずにすむよう「底は 10 と決めつけるね、それと小さい数の指数部分は負だから、対数表現にする時符号は逆にしよう」というルールが頻出です。接頭語 の「p」で表され「-log10 を小さい数に対してとる」という操作になります。この操作により、小さな数が大きな数で表現されます。

「p」について、10-6 と 10-9 を例にあげます。
p をつける、すなわち -log10 をとれば それぞれ「6」と「9」です。

10でない場合について例をあげます。
0.002 = 2 × 10-3 について考えましょう。 -log10 をとると「3 ー 0.3 ≒ 2.7」です。どのような計算なのか、以下で説明します。

対数表現には計算規則があって、掛け算は足し算になおせます。すなわち -log10(2 × 10-3) = -(log102 + log1010-3) となります。従って、3ーlog102 となります。さらに log102 ≒ 0.3 なので、3-0.3 ≒ 2.7 です。

※ log102、log103、log107 などは、大体問題文で与えられる定数です。

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