同素体とは
同じ元素からできているが、配列や結合様式が違いそれに伴い化学的・物理的性質(融点や硬さ、見た目など)が異なる物です。代表例は、共通の元素 C の同素体である「ダイヤモンド」と「カーボンナノチューブ」と「黒鉛」などです。ぱっと見全然違うものだけど、構成原子という観点から見たら共通、という関係が同素体です。
同位体とは
陽子数が同一で、中性子数が異なる核種です。代表例は、12C(陽子数6、中性子数6、質量数12)と 13C(陽子数6、中性子数7、質量数13)と 14C(陽子数6、中性子数8、質量数14)などです。同素体とは違い、同位体同士について、化学的性質については区別がつきません。質量が異なるため、物理的性質についてわずかに違いが生じます。
自然界における同位体の比を同位体比といいます。太陽系内の物質の同位体比は、極めて一様です。ただし局所的に見ると同位体比に違いがでてきます。例えば 14C に注目してみましょう。
14C は大体 6000 年弱で半減することが知られています。「ん?半減するのに、太陽系内の比が一定・・・?」と疑問に持ったのではないでしょうか。「大気中」の 14C はほぼ一定を保ちます。なぜなら、失われた分は、大気中の大部分を占める N2 が紫外線などにより 14C に変化することで補充されると考えられるからです。比率が一定というのは全く動きがないわけではなく、減少速度と増加速度が一定であるといえます。
ここで大気以外、具体的には植物に注目します。大気中の C を取り込んで日々破壊と再生を繰返している植物中の 14C の比率は、生きている時は大気中と同様に一定です。しかし、植物がおなくなりになると、当然光合成を行わなくなるため、大気中の C 取り込みがなくなります。すると、植物中において 14C の比率は 6000 年ごとに半減していきます。
「6000 年って植物自体が風化してなくなるのでは・・・?」と想像したかもしれません。その通りです。ただし、ごくまれに「化石」のように、植物が死んだ後、非常に安定した環境で長期間保存されることがあります。すると同位体比に注目することで、化石がもともとあった年代を推測することができます。これが 14C 年代測定法です。化学、生物学、物理学がそれぞれ発達させた知見を組み合わせ、数千年、数万年前というレベルでの推測を可能としています。
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