ボーアモデルと電子雲モデル

原子はどういう構造なのか、というのは科学における大きな問です。いくつかの実験から光が粒子としての性質と波としての性質を併せ持つことがわかっていました。

そこでド・ブロイさんが「そもそも粒子は波としての性質を持つ」と考えて物質波というアイデアを考えました。これは、質量 m 速度 v で運動する場合、λ = h/mv という波長を持つ波とみなせる というアイデアです。「粒子が波。なるほど、わからん」と感じる人もいると思いますが、物理量の意外な対応を見つけ、物質に関する理解を深める という物理学の大きな目的をふまえ、種々の実験結果からひねり出されたアイデアとして、ひとまず受け入れて読み進めてもらえると幸いです。

ボーアモデル以前の有力なモデルは、原子核の周りを電子の粒が回っているというものでした。ボーアモデルはド・ブロイの物質波の考えをとりいれ、周囲の電子を波として考えました。電子を波と考えると、電子が回る軌道は、ちょうど一周の長さが波長の整数倍の時だけうまく波がつながります。イメージが下図です。

このモデルが表す性質が、実験において離散的な値しかとらないことを見事に説明しました。

次に、電子雲モデルについてです。
物質波という考え方を基に、時間と変位を変数として、波が満たすべき方程式である波動方程式がシュレディンガーにより考案されました。この方程式をがんばって解くと、時間 t、位置 x に関する f(t) + g(x) みたいな式がでます。

複素数を含むのですが、この式の解釈として、確率解釈という読み方をすると様々な実験結果と合致しました。その解釈の結果、電子は特定の場所で観測されやすくて、原子核から離れると全然観測されないと考えられました。電子の確率密度をもわっとした雲のように表したものが電子雲モデルです。すでに有機化学、物理化学で 1s 軌道などについて学んだかもしれません。これらの軌道は電子雲モデルによる表現です。

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