誕生に関わる倫理的問題(生殖技術、クローン技術、出生前診断)

医療の発達に伴い、人工授精、体外受精、排卵誘発剤といった生殖技術が発達しています。これらの技術が生み出す問題点として、技術と、法制度の解離があげられます。

一例としては、保存精子の問題があります。すなわち、夫の死後、今の所、保存精子による人工授精によって生まれた子は、法的には、子どもと認知されません。このように、法的に想定していなかった現状が、技術の進歩により急速に実現しています。

又、クローン技術が実用レベルにまで発達してきました。クローン技術は、同じ遺伝子を持った人間が生まれるという事態を可能にしました。医療的な観点からは、拒絶の恐れのない臓器移植の実現などにつながる発達です。

しかし、そのようにして生まれた人間の人権はどのように尊重されるのか、元の人間との関係はどうなるのかといった点に課題が残っています。

出生前診断も、議論が重ねられている問題です。診断技術や、分析技術の発達に伴い、出生前に、母体から、これから生まれる子どもについての様々な情報を得ることができるようになってきました。その中には、遺伝的な欠損といった情報も含まれます。すると、そのような情報を基にして、中絶を行うという現実的な選択肢が生まれてきます。このような「命の選別」は、許されるのか。許されるとすれば、程度はどこまで合意できるのか。

そもそも、診断しないという権利も尊重されるべきであるが、現在の医療制度では、望まない情報も、知らされてしまうことがあるといった種々の問題が、現在議論されています。

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