新生児マススクリーニングとは、新生児における先天性の代謝異常などの疾患を早期に発見し治療することを目的とした検査のことです。これは二次予防にあたります。検査は義務ではありません。新生児マススクリーニングの対象疾患は、主に6つあります。
1つめはフェニルケトン尿症です。
フェニルアラニン水酸化酵素の欠損により、フェニルアラニン → チロシンの代謝が進まず、蓄積したフェニルアラニンが尿中に出てきます。チロシンを多く含み、フェニルアラニンをあまり含まない乳で育てることで治療を行います。
2つめはホモシスチン尿症です。
シスタチオニン合成酵素の欠損により、ホモシステイン → シスタチオニンの代謝が進まず、蓄積したホモシステインがホモシスチンとなり尿中に出てきます。ホモシステインはメチオニンにも代謝されるため、血中メチオニン濃度も高くなるという特徴があります。治療は低メチオニン食に加え、ホモシスチンの代謝の補助となるビタミン B6 を大量に用いたビタミン療法を行うこともあります。
3つめはメープルシロップ尿症です。
分岐鎖アミノ酸脱炭酸酵素欠損による症状です。分岐鎖アミノ酸とは、ロイシン、イソロイシン、バリンです。分岐鎖アミノ酸をできるだけ摂らない食事で治療を行います。
4つめはガラクトース血症です。
ガラクトース-1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼの欠損による症状です。無乳糖乳により治療を行います。
5つめはクレチン症です。
先天性甲状腺機能低下症とも呼ばれます。これは甲状腺ホルモン合成酵素欠損による症状です。甲状腺ホルモンの補充療法が行われます。発見される確率が一番この6つの中で高く、4,000人に1人ぐらいの確率です。
最後に6つめは先天性副腎過形成症です。
プロゲステロン-21-水酸化酵素の欠損による症状です。不足したコルチゾールやアルドステロンといったホルモンを補充することにより治療を行います。
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