後天性免疫不全症候群の病態生理、治療薬、注意点

後天性免疫不全症候群(AIDS)とは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染により、CD 4 陽性 T 細胞が減少し、細胞性免疫不全の結果、特異的日和見感染症や脳症などを伴った状態のことです。単にウイルスに感染した状態は HIV 感染と呼ばれます。特徴的指標疾患が合併すると AIDS 発症と定義されます。

HIV はレトロウイルスに属する、RNAウイルスの一種です。逆転写酵素を有し、特有のインテグラーゼ、プロテアーゼを産生します。感染源は血液、体液、母乳などです。感染後約2週間でインフルエンザ様症状が現れ、その後しばらく無症候です。6~8週は検査で陽性に出ないことがあります。ウインドウ期と呼ばれます。個体差が大きいのですが、数年~数十年かけて徐々に CD4 陽性 T 細胞が減少していきます。カポジ肉腫、ニューモシスチス肺炎などが AIDS の指標疾患です。CD4 陽性 T 細胞が 200mm3 以下が、発症の一つの目安とされています。

治療は HAART と呼ばれる多剤併用療法が中心です。合剤などにより、実質単剤治療の形も多くなってきました。核酸系逆転写酵素(NRTI)、非核酸系逆転写酵素(NNRTI)、プロテアーゼ阻害薬(PI)、インテグラーゼ阻害薬、CCR5 阻害薬などが用いられます。内服は終生継続です。服薬継続が極めて重要であり、服薬指導等を通じ、服薬への不安等はないかなどに継続的に注意が必要です。

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