神経症、心身症、薬物依存症、アルコール依存症の概説

神経症とは、軽度な障害にとどまる心理的要因に基づく種々の疾患の総称です。不安障害と呼ばれるようになっています。パニック障害や、全般性不安障害、強迫性障害、適応障害、PTSD などに分類されます。抗不安薬の Bz 系薬物が第一選択薬として用いられます。また、SSRI や、タンドスピロンも用いられます。

心身症とは、心理・社会的因子が密接に関与するような、器質的、機能的障害の認められる病態のことです。ストレス性胃潰瘍や、片頭痛、過敏性腸症候群などがあげられます。治療では、心身両面からのアプローチがとられます。具体的には、認知・行動療法や、Bz 系や、タンドスピロンといった、抗不安薬による薬物治療が用いられます。

薬物依存症とは、薬物摂取の効果が薄れる耐性が形成され、通常量の摂取では、離脱症状が生じ、渇望を呈する等の診断基準を満たした精神障害です。身体症状を示す身体的依存を含まない場合、薬物乱用と呼ばれます。特に身体依存性が強い薬物としてアヘン類(モルヒネ、コデイン、ヘロイン)が知られています。原則、依存を生じた薬物を中止し、精神症状に対して抗精神病薬などを用います。

アルコール依存症は、お酒の飲み方(飲む量、飲むタイミング、飲む状況)を自分でコントロールできなくなった状態です。精神依存、身体依存、耐性が生じます。アルコール依存に関連して、ビタミン B1 の欠乏によるウェルニッケ脳症と呼ばれる運動失調、意識障害や、コルサコフ症候群と呼ばれる記憶障害、健忘症候群が知られています。また、ニコチン酸の欠乏によるペラグラも見られることがあります。禁酒継続が困難な場合、酒量抑制薬であるジスルフィラムなどが用いられます。

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