旋光度測定法、円偏光二色性測定法

旋光度とは、光学活性物質又はその溶液が、偏光面を回転させる角度のことです。

自然光はあらゆる方向に振動している電磁波の集まりです。それを「偏光子」と呼ばれるフィルターに通すと、一平面内で振動する平面偏光が得られます。この平面偏光を通過させた時に平面を回転させるような性質を「光学活性」と呼びます。右に回転させるものが、右旋性(d 体)、「+」、左に回転するものが、左旋性(l 体)、「ー」と表します。※この +,- や d,l は、絶対配置を表す R,S とは特に対応がない点に注意が必要です。

ここで、平面偏光とは、右円偏光と、左円偏光のベクトルの和として表現できることが知られています。光学活性を有するとは、この左右円偏光に対する屈折率の差が原因であるといえます。

旋光度測定法とは、旋光計で試料の旋光度を測定する方法です。光源→偏光子→試料→検光子 といった装置を用います。

光学活性物質の旋光度は、波長により変化します。これを「旋光分散(ORD:Optical Rotatory Dispersion)」といいます。横軸に波長、縦軸に旋光度をとった曲線は旋光分散曲線といいます。旋光度を測定する際、光源として一般に ナトリウムランプ や キセノンランプ が用いられます。

旋光分散曲線の形は、「測定波長範囲の光を、光学活性物質が吸収するかどうか」によって大きく2つに分類されます。単純曲線と、異常分散曲線です。

単純曲線とは、波長が長いほど、ゆるーっと溶液を光が抜けていき、あんまり旋光度が大きくならないようなグラフの形です。単調減少 or 単調増加、漸近線が0に近づくという形をとります。光学活性物質が、測定波長範囲の光を吸収しない場合のグラフです。

一方、光学活性物質が、測定波長範囲の光を吸収する場合は、異常分散曲線と呼ばれる形をとります。すなわち、化合物の吸収帯付近で、旋光度が著しく変化し、旋光度の符号が逆転する現象が見られます。これをコットン効果と呼びます。

グラフの形が sin や cos のようになる、ということなのですが、短波長側に極小値がある場合を、正のコットン効果、短波長側に極大値がある場合を、負のコットン効果と呼びます。

光の吸収についてですが、平面偏光は、左右円偏光のベクトル和として表せるのでした。光学活性を有するとは、この左右円偏光に対する「屈折率の差」が原因でしたが、「吸収率」も異なることがあります。吸収率に差があると、平面偏光は「だ円」になります。この性質、すなわち、平面偏光をだ円偏光に変化させる性質を、円二色性といいます。横軸に波長、縦軸に、左右円偏光に対するモル吸光係数の差をとったグラフを、 CD スペクトルといいます。

旋光度測定法は、光学活性物質の測定に有用です。また、旋光分散や円二色性は、光学活性物質の絶対配置や、高分子化合物の高次構造に関する情報を得る手法として活用されています。

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