蛍光光度法とは、蛍光物質に特定波長の光を照射し、放射される蛍光強度を測定する方法です。試料物質が蛍光を示さない場合は、蛍光物質と結合させることで分析を行います。
光を当てると、蛍光が出る原理は、電子が励起一重項状態と呼ばれる状態から、基底一重項状態という落ち着いた状態(エネルギーが低い状態)に遷移する際に光が放射される、というものです。ちなみに、励起一重項→励起三重項→ゆっくりと基底一重項状態へ移動する際に放出される光はリン光と呼ばれて区別されます。
当てる光を励起光と呼びます。励起光エネルギーの一部が放出されるのが蛍光といえます。従って、蛍光のエネルギーの方が小さいです。これは波長で言えば、蛍光の波長の方が長い、ということになります。これを Stokes (ストークス)の法則と呼びます。
蛍光強度は、励起光あるい発する蛍光を吸収する物質の共存により、測定結果が妨害されます。このような物質をクエンチャーと呼びます。代表的なクエンチャーとして、酸素、金属イオン、ハロゲンなどがあります。これらの除去が実験上の重要なポイントとなります。また、試料の濃度が高くなりすぎると、蛍光強度と濃度の比例関係が成立せず、蛍光強度の減少が見られます。
蛍光光度法において、光源としてはキセノンランプ、レーザー、アルカリハライドランプなどが用いられます。資料部としては、石英製セルを用います。ガラスは紫外部の光を吸収してしまうため用いられません。
測定結果として、大きく2種類あります。すなわち、励起スペクトルと、蛍光スペクトルです。
励起スペクトルとは、励起光の波長を変化させ、スリットなどを用いて検出する蛍光波長は固定したスペクトルです。横軸が励起波長、縦軸が蛍光強度です。これにより、蛍光スペクトルを測定する際に最も有効な励起波長を知ることができます。
蛍光スペクトルは、励起光の波長を固定し、蛍光の波長を変化させていった時の蛍光強度を測定したスペクトルです。横軸が蛍光波長、縦軸が蛍光強度です。最も蛍光を発する波長がわかります。この際、励起光の散乱光も観測されることがあります。レイリー散乱=励起光と同じ振動数の散乱光、ラマン散乱=励起光と異なる振動数の散乱光のことです。
蛍光光度法の代表的な応用例は、緑色蛍光タンパク質(GFP : Green Fluorecent Protein)を用いた、タンパク質の細胞内における挙動や機能予測のための、蛍光プローブとしての利用があげられます。
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