分配平衡

互いに混ざらない、水と有機溶媒に、化学物質を加えて振り混ぜると水層と有機層に、ある割合ずつ存在して平衡に達します。化学物質が全て分子形であると仮定した時、水層と有機層における化学物質の割合を、真の分配係数と呼びます。実際には、化学物質は溶媒中で、分子形とイオン形の平衡状態にあるので、見かけの分配係数を以下のように定義します。

ポイントは、酸性弱電解質の見かけの分配係数は、溶媒の pH が低いほど分子形の割合が高いため、真の分配係数に近いことです。ちなみに、大体 pH 1 であれば、ほぼ、酸性弱電解質は分子形であると考えてよいです。※ 塩基性弱電解質の場合は、 pH が高いほど、真の分配係数に近づきます。

水溶液中の物質の、有機溶媒への抽出は、夾雑物の分離や目的成分の濃縮のために、分液ろうとを用いて一般的に行われています。有機化学の実習などで経験があるのではないでしょうか。抽出効率を高くするためには、できるだけ見かけの分配係数の大きい有機溶媒の使用溶媒量を多くすること、同じ溶媒量ならば、数回に分けて繰り返し抽出するといった方法が有効です。

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