アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり

本の内容を簡単に…

「アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり」は、月刊コミックゼノンというマンガ雑誌で連載されている作品です。入社2年目の病院薬剤師である主人公が、院内で働くなかで起こる様々な事例やトラブルに奮闘する物語です。

一話完結型なので読みやすく、話の展開にもバリエーションがあるので飽きずに読み進めることができます。

ちなみに、現在(2020年夏)テレビドラマ「アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋」が放送中ですが、これはその原作マンガです。私はドラマ版のほうは未視聴なので…今回はあくまで原作であるコミックのレビューとなります。

著者はこんな方

著者は荒井ママレさん、医療原案は富野浩充さんです。富野さんは総合病院で働く現役の病院薬剤師で、日経DI(日経ドラッグインフォメーション)などで執筆活動も行っています。

おすすめのポイント

この漫画の第1話の冒頭では、主人公のこんなモノローグ(心の声)から始まります。

大学6年間 必死で勉強して
国家試験受けて資格とって
希望してた総合病院にも就職できた

でも私 この頃 思うんですけど
もしかして 薬剤師って いらなくない?

荒井ママレ:アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり, 1巻 (2020) p.3-4

これを読んで薬剤師や薬学生の多くは、ちょっとムッとするかもしれません。一方で、薬剤師と縁のない人たちには、けっこう納得や共感されそうなセリフでもあります。

医師は言うまでもなく病院の要であり、患者さんに頼られる存在。看護師は患者さんにとって最も身近で、親しみやすい存在。これらは誰もが認めるところだと思います。

一方の薬剤師は認知度もあまりなく、せいぜい「薬局で薬を出してくれる人」程度の認識なのが現実です。だからこそ、そんな薬剤師に付けた形容詞が”unsung”(誉め讃えられることのない)というのは、なかなかに的を射ているなぁ…とセンスを感じました。
※ ちなみに本作のタイトルは、”unsung hero”(縁の下の力持ち)に由来するそうです。

とはいえ、薬学生の皆さんはご存知の通り、薬剤師の仕事は決して医師の処方箋に書かれた薬を調剤して患者さんに渡すだけではありません。疑義照会や服薬指導はもちろん、医薬分業やチーム医療が定着してきた昨今は、やれること・やるべきことが年々増えています。

このコミックは、人々からほとんど知られていないであろう薬剤師の仕事ぶりがたくさん描かれています。薬剤師の仕事を紹介する本はたくさんありますが、やっぱりマンガだとイメージが湧きやすくていいですね。一般向けなのであまりマニアックな話まで深堀りすることはありませんが、それも伝わりやすさを重視した結果だと思います。

フィクションの漫画なのでもちろんエンタメ化されてる部分もありますが、そのおかげで病院薬剤師の奮闘ぶりを面白おかしく読むことができます。泣けるし笑えるし、薬学とか抜きにしてもヒューマンドラマとして一読をオススメしたい作品です!

こんな人におすすめ!

  • 薬剤師(特に病院薬剤師)になりたい薬学生にはぜひ読んでほしい!
  • マンガ好きには、薬剤師とか薬学生とか関係なしにオススメ!

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