薬学教室へようこそ

本の内容を簡単に…

おすすめの読み物を紹介するこのコーナー。第1回目は最初らしく、薬学を学び始めたばかりの皆さんに合うような一冊として「薬学教室へようこそ」を選びました。

この本は次のような章立てで、薬学・くすり・薬剤師のことが広く浅くまとめられています。新書サイズで200ページくらいなので、気負わずに読めると思います。

  1. クスリとは、医薬品とは
  2. クスリと薬学の始まり
  3. クスリの創造(創薬)への道
  4. クスリ(薬学)を支える考え方と身近な法律
  5. 感染症の過去と現在
  6. 長寿社会とクスリ
  7. クスリを投与する
  8. クスリの体内での動きと代謝
  9. 薬剤師とはどんな人
  10. 薬学はどのように学ぶのか

著者はこんな方

著者は二井將光さん。大阪大学をはじめ、いくつかの大学で薬学部の教授をされていた方です。分子生物学と生化学を専門としていて、「生命を支えるATPエネルギー」などの本も執筆しています。

また、岩手医科大学では2007年に薬学部が新設されましたが、その立ち上げにも深く携わっています。薬学部の6年制課程が始まったのが2006年なので、新制度の教育理念に対応した学部作りはとても大変だったと、本書のあとがきに書かれていました。

そのため、この本は新制度での薬学部の研究・教育理念がきちんと反映されています。なので、薬学生の皆さんにとっては学ぶべきことも多いと思います。

おすすめのポイント

上に書いた本書の目次を見てもわかるように、本書の掲載内容は多岐にわたっています。わずか200ページ程度の新書でこれらを網羅できるのか…とも思いましたが、決して表面的なことだけでなく、きちんと具体例に踏み込んでいるので面白く読むことができました。

たとえば、第6章「長寿社会とクスリ」では、アルツハイマー病の発見からそのメカニズム、現在使われている薬、そして根本的な治療薬の開発の展望までも書かれています。

また、第7章「クスリを投与する」では、薬の投与方法には内用剤・注射剤・外用剤・目薬・坐薬があると示したあとに、注射剤でいえば注射する場所は静脈内・筋肉・皮下・皮内があり、静脈内注射だと5~10分で全身をめぐる…といった詳しい説明があります。


本書に書かれていることの多くは、薬学部の1, 2年生の授業の中でしっかり学ぶことになると思います。しかし、授業では結構コアな内容まで踏み込むことが多いので、たくさんのことを覚えきれないかもしれません。

この本に載っているのは各項目の中でも特に代表的な事柄なので、その分野の最重要事項が何かを知るのにも使えそうです。たとえば、創薬ならアスピリンのことが、飲み合わせならグレープフルーツジュースのことを取り上げています。

そんなわけで、1年生や2年生が予習・復習のために使うのに向いている本だといえます。重量的にも内容的にも重くなく、通学電車の中などで気軽に読める一冊なので…少しでも気になったらぜひ実際に読んでみてください。


ただし、出版されたのが2015年とやや時間が経っているため、最新のトレンドが反映されていません。あくまで薬学やくすりの概要を知るための入門書と捉えて、新しいトピックスについては別の本などを参照してください。

また、この本を読んで興味を持ったり引っ掛かったところがあれば、次は教科書や専門書を手にとってみて、より深い薬学の世界を堪能してほしいと思います。

こんな人におすすめ!

  • 薬学部の1年生・2年生
  • 薬学の成り立ちや歴史、今後の展望についてさらっと学びたい人
  • 代表的な病気とその治療薬について知りたい人

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