エンタルピー、エントロピー変化に関して代表的な物理変化、化学変化を例にあげて詳しく解説します。
代表的な物理変化として、水の固体から液体への相転移を例にあげます。(例1)
代表的な化学変化として、気体の混合を例にあげます。(例2)
例1)氷が水に融解した。(0℃)
(融解エンタルピーは、6.01kJ/mol と、過去の実験、及び文献によりわかっているとします。)
「融解エンタルピーが6.01kJ/mol」ということの意味は「氷 1mol が融解して水になるには6.01kJ 必要」ということです。これは、実際に氷 1mol を用意して、熱を与えて測定すればわかる値です。
次に、融解に伴うエントロピー変化は、ΔS=q/T より 6.01×1000/273 = 22.01 J/K です。ここで T は、状態変化がおきた時の温度です。
例2)仕切りのある容器に 2 種類の気体を入れておいて、仕切りをとった。
まず、熱の出入りがあったわけではないので、エンタルピーは変わりません。次に、気体が混ざり合い乱雑さが増すので、エントロピーが増大します。
※補足解説 ここで、先ほどの例1におけるエントロピー変化のように、エントロピーの定義ΔS=q/T という定義(熱力学的定義)を考えれば、q = 0 だからエントロピー変化(ΔS)も0ではないのかと思うかもしれません。
例2におけるエントロピーは、「統計力学的エントロピー」と呼ばれるものです。すなわち、熱力学よりもミクロな視点に着目したエントロピーであるといえます。ミクロな視点に注目すると、仕切りをとったことにより、気体は一様に広がろうと自発的に動きます。
運動すると暑くなるように、ミクロな視点で見た時、この気体たちは動きはじめた→熱を産生しはじめたという雰囲気で考えるとよいかと思います。
イメージではなく、定義としては、統計力学的エントロピーは「系が取りうる状態の数の自然対数に、ボルツマン定数をかけた量」です。 理解としては、「気体が取りうる状態(どこに、どのように存在するか)が増えた」ということを「統計力学的エントロピーが増大した」と記述すると覚えておけばよいかと思います。
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