問 題
60歳男性。以下の薬剤が処方されている。労作性狭心症の診断のため、イオパミドールを用いて造影検査を実施することになった。
問204
この患者に対する情報提供の内容として、正しいのはどれか。2つ選べ。
- アムロジピンベシル酸塩は、持続使用により耐性を生じるので定期的に休薬する。
- 検査の2日前からメトホルミン塩酸塩錠を休薬する。
- イオパミドールの投与直後に血圧低下や呼吸困難が現れた場合、すぐに治まるので処置は不要である。
- 検査の数日後に、遅発性のアレルギー症状が現れることがある。
問205
画像診断薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- X線造影剤として硫酸バリウムが利用されるのは、X線のバリウム原子に対する透過性が高いからである。
- MRI造影剤として常磁性物質を利用するのは、常磁性物質がプロトンのT1及びT2緩和時間を変化させるからである。
- 超音波診断用の造影剤は、エコー信号を増強させる。
- 14Cは、PET検査で用いられるポジトロン放出核種である。
正解.
問204:2, 4
問205:2, 3
解 説
問204
アムロジピンベシル酸塩は、カルシウム拮抗薬です。連続投与でも耐性が発言しないことが、各種高血圧病態モデルにおいて認められています。よって、選択肢 1 は誤りです。
ヨード造影剤を用いて検査を行う患者について、メトホルミンの併用で乳酸アシドーシスを起こすことがあるので、メトホルミン投与を一時中止するよう併用注意とされています。
イオパミドールは、ショック等の重篤な副作用があらわれることがあるとして警告が出ています。投与直後に血圧低下や呼吸困難が現れた場合、早急に処置が必要です。よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 はその通りの記述です。
以上より、正解は 2,4 です。
問205
X 線はそのままだと通過してしまうため、X 線を吸収するバリウムを飲んで撮影します。よって、X 線のバリウム原子に対する透過性は高くないので、選択肢 1 は誤りです。
常磁性物質とは、外部磁場にさらされると磁化するような物質です。MRI 造影剤として常磁性物質が用いられるのは、常磁性物質が T1、T2 緩和時間を変化させるためです。
ちなみに、MRI の原理は、原子を構成する原子核(特に 1H、すなわち、 水、及び脂肪におけるプロトン)が磁石のような性質を持つことを利用して
1:強磁場をかける → 整列させられる
2:照射をやめる→元に戻ろうとする(緩和すると呼ぶ。方向によって、T1 緩和、T2 緩和と呼ぶ)
この戻り方が、各組織によって異なるので、それを画像化するというものです。造影剤を使う理由は、診断における情報量を増やすためです。具体的には、細かい血管の描出のためのコントラスト増加や、脳腫瘍のような造影剤の取り込みが行われる場合に用いられます。
選択肢 3 はその通りの記述です。
14C は、年代測定法において用いる炭素の放射性同位体です。PET 検査で用いられるのは、11Cです。よって、選択肢 4 は誤りです。
以上より、正解は 2,3 です。
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