問 題
以下の記述は、日本薬局方に収載されているアスピリンの確認試験である。[ ]に入れるべき化合物の名称はどれか。1つ選べ。
本品0.5gに炭酸ナトリウム試液10mLを加えて5分間煮沸し、希硫酸10mLを加えるとき、酢酸のにおいを発し、白色の沈殿を生じる。また、この沈殿をろ過して除き、ろ液にエタノール(95) 3mL及び硫酸3mLを加えて加熱するとき、[ ]のにおいを発する。
- 酢酸
- 酢酸エチル
- ギ酸
- メタノール
- フェノール
正解.2
解 説
アスピリンに炭酸ナトリウムを加えて煮沸すると、エステルの加水分解が起こり、サリチル酸ナトリウムと酢酸ナトリウムが生成します。
次に希硫酸を加えることで、サリチル酸ナトリウムはサリチル酸に変わり(これが白い沈殿)、酢酸ナトリウムは酢酸になります。
ともに、ある塩に対して強酸を加えたことで、弱酸(正確には、希硫酸より弱い酸)が遊離するという反応です。よって、問題文にもあるとおり、この段階で酢酸のにおいがします。
続いて沈殿物であるサリチル酸はろ過で除き、残る酢酸にエタノールと硫酸を加えます。カルボン酸(酢酸)+アルコール(エタノール)+酸触媒(硫酸)といえば、エステル合成の有名な反応です。つまり、酢酸とエタノールのエステルである酢酸エチルが生成します。
よって、選択肢 2 が正解です。
コメント