薬剤師国家試験 第97回 問106 過去問解説

 問 題     

以下の記述は、日本薬局方に収載されているアスピリンの確認試験である。[  ]に入れるべき化合物の名称はどれか。1つ選べ。

本品0.5gに炭酸ナトリウム試液10mLを加えて5分間煮沸し、希硫酸10mLを加えるとき、酢酸のにおいを発し、白色の沈殿を生じる。また、この沈殿をろ過して除き、ろ液にエタノール(95) 3mL及び硫酸3mLを加えて加熱するとき、[  ]のにおいを発する。

  1. 酢酸
  2. 酢酸エチル
  3. ギ酸
  4. メタノール
  5. フェノール

 

 

 

 

 

正解.2

 解 説     

アスピリンに炭酸ナトリウムを加えて煮沸すると、エステルの加水分解が起こり、サリチル酸ナトリウムと酢酸ナトリウムが生成します。

次に希硫酸を加えることで、サリチル酸ナトリウムはサリチル酸に変わり(これが白い沈殿)、酢酸ナトリウムは酢酸になります。

ともに、ある塩に対して強酸を加えたことで、弱酸(正確には、希硫酸より弱い酸)が遊離するという反応です。よって、問題文にもあるとおり、この段階で酢酸のにおいがします。

続いて沈殿物であるサリチル酸はろ過で除き、残る酢酸にエタノールと硫酸を加えます。カルボン酸(酢酸)+アルコール(エタノール)+酸触媒(硫酸)といえば、エステル合成の有名な反応です。つまり、酢酸とエタノールのエステルである酢酸エチルが生成します。

よって、選択肢 2 が正解です。

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