問 題
48歳男性。アセトアミノフェン錠を大量に服用し、病院に搬送されてきた。服用後4時間程度と推定され、血漿中アセトアミノフェン濃度は200μg/mLを超えており、解毒薬による治療が必要と判断された。
問236
アセトアミノフェンは代謝活性化を受けて毒性を示す。活性代謝物と考えられているのはどれか。1つ選べ。
問237
この男性に使用すべき解毒薬はどれか。1つ選べ。
- フルマゼニル
- ペニシラミン
- プラリドキシムヨウ化物(PAM)
- N-アセチルシステイン
- アトロピン硫酸塩
正解.
問236:4
問237:4
解 説
問236
アセトアミノフェンは、通常はグルタチオン抱合を受けて代謝されて無毒化されます。しかし、大量のアセトアミノフェンを摂取すると、グルタチオンが枯渇し別の代謝経路により代謝されることで、N-アセチル-p-ベンゾキノンイミンが生成され毒性を示します。イミンとは、R-C=N-R構造を持つ化合物です。よって、選択肢からこの構造を持つものを選ぶと、正解は 4 と考えられます。
問237
フルマゼニルは、ベンゾジアゼピン系薬物による鎮静の解除及び、呼吸抑制の改善を示す
特異的解毒剤です。
ペニシラミンは、体内でキレート複合体を作ることで、体外への金属の排出を促進する
金属に対する解毒剤です。
プラリドキシムヨウ化物は、有機リン剤中毒の特異的解毒剤です。
N-アセチルシステインは、アセトアミノフェンによる肝障害に対する予防効果のある
解毒剤です。
アトロピン硫酸塩は、有機リン系殺虫剤由来の中毒症状に対する、対症療法的に用いられる
解毒剤です。
本問では、アセトアミノフェン中毒なので、N-アセチルシステインを用いるのが適切であると考えられます。
以上より、正解は 4 です。
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