問 題
10歳女児。上気道炎で、咳と痰がひどいため以下の薬剤が処方された。
問202
この処方は組合せ水剤として交付することが望ましい。その理由として、正しいのはどれか。1つ選べ。
- クレゾールスルホン酸が加水分解される。
- ブロムヘキシンが分解する。
- デキストロメトルファンが分解する。
- ブロムヘキシンとデキストロメトルファンとの複合体が析出する。
- ブロムヘキシンとクレゾールスルホン酸との複合体が析出する。
問203
日本薬局方ブロムヘキシン塩酸塩の定量法を以下に示す。[ ]の中に入れるべき数値として、正しいのはどれか。1つ選べ。
「本品を乾燥し、その約0.5gを精密に量り、ギ酸2mLに溶かし、無水酢酸60mLを加え、50℃の水浴中で15分間加温し、冷後、0.1mol/L過塩素酸で滴定する(指示薬:クリスタルバイオレット試液2滴)。ただし、滴定の終点は液の紫色が青緑色を経て黄緑色に変わるときとする。
同様の方法で空試験を行い、補正する。
0.1mol/L過塩素酸1mL=[ ]mgC14H20Br2N2・HCl」
- 20.63
- 41.26
- 82.52
- 103.1
- 206.3
正解.
問202:5
問203:2
解 説
問202
ブロムヘキシンと、クレゾールスルホン酸の複合体が析出するため、この処方は組合せ水剤、すなわち、混合しないでそれぞれを瓶に入れて処方するのが望ましいと考えられます。
以上より、選択肢 5 が正解です。
問203
ギ酸に溶かしてから無水酢酸を加えていること、過塩素酸での滴定指示薬がクリスタルバイオレットであることから、これは非水滴定であると判断できます。
非水滴定においては、加えられる過塩素酸(HClO4)のHが、滴定する物質の塩基性を示す部分と反応します。
ブロムヘキシン塩酸塩の構造に注目すると、塩基性を示すような不対電子を持っているのは、3 級窒素1つです。※※-NH2 の部分については、加えられた無水酢酸によるアセチル化を受け、塩基性がなくなります。
よって
ブロムヘキシン塩酸塩と、過塩素酸は、1:1で反応します。0.1 mol / L = 0.1 mmol/ mL なので、過塩素酸1 mL で、0.1 mmol です。反応するのは、0.1 mmol のブロムヘキシン塩酸塩なので、412.59 × 0.1 = 41.259 mg です。
以上より、正解は 2 です。
コメント