問 題
65歳男性。血液透析が施行されており、以下の薬剤を処方されていた。
今回の検査において、eGFR(推算糸球体ろ過速度) 15mL/min/1.73m2、血中リン濃度 5.5mg/dL、補正血中カルシウム濃度 11.0mg/dL、血中アルブミン濃度 3.7g/dLという結果となり、以下の処方に変更になった。
問284
上記処方に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- カルタン錠は、血中リン濃度を上昇させる目的で処方された。
- 今回の処方変更は、血中カルシウム濃度が高値を示しているためである。
- セベラマー塩酸塩錠は、経口投与されたカルシウムの吸収を促進させる。
- セベラマー塩酸塩錠は、血中リンの排泄を促進する薬剤である。
- セベラマー塩酸塩錠の重大な副作用として、腸管穿孔や腸閉塞がある。
問285
セベラマー塩酸塩錠に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
- 主薬は、消化酵素で分解されて活性体となる。
- 主薬は、カチオン性ポリマーである。
- 主薬は、水に速やかに溶解する。
- 胃で作用する製剤である。
- 浸透圧を利用して主薬を放出する。
正解.
問284:2, 5
問285:2
解 説
問284
選択肢 1 ですが
カルタン錠は、高リン血症 に用いるリン吸着薬です。血中リン濃度を減少させる目的で処方されます。上昇させる目的では、ありません。よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は、その通りの記述です。
セベラマー塩酸塩(フォスブロック、レナジェル)は、カルシウムや金属を含まないため血清カルシウム値が高く、炭酸カルシウム製剤が使いにくい場合に有用な薬です。
選択肢 3 ですが
選択肢 2 の解説で述べたように、セベラマー塩酸塩はカルシウムを含まず、血清カルシウムへの影響が小さい点が特徴です。また、カルシウムの吸収を促進させるといった働きはありません。よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
セベラマー塩酸塩は、食物から遊離したリンを吸着することによりリンの体内への吸収を抑制する薬です。血中に存在するリンの排泄を促進する薬では、ありません。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は、その通りの記述です。
服用開始や、増量後に便秘が悪化したり腹部膨満感などの症状が現れたり、腹痛や嘔吐などの異常が現れた場合はすぐ相談するように服薬指導時を行う必要があります。
以上より、正解は 2,5 です。
問285
選択肢 1 ですが
セベラマー塩酸塩は、吸収や代謝を受けずに作用します。よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は、その通りの記述です。
選択肢 3 ですが
セベラマー塩酸塩は、水分吸収により膨潤します。溶解するわけではありません。よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
作用するのは、リンの吸収が行われる腸管です。胃で作用するわけではありません。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
浸透圧を利用して主薬を放出するというのは、オロス に関する記述です。セベラマーは、フィルムコーティング錠で浸透圧による主薬放出では、ありません。よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 2 です。
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