問 題
図は、ある被検化合物について、ネズミチフス菌(Salmonella enterica serover Typhimurium)のTA100株を用いてAmes試験を行った結果である。この実験に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ネズミチフス菌のTA100株は、ヒスチジン要求性である。
- 復帰変異部位のDNA配列は、野生株の当該部位のDNA配列と常に同一である。
- 被検化合物は、塩基対置換型の変異原性を示す。
- S9mixは、動物の肝可溶性画分にNADPHなどの補酵素類を加えたものである。
- 被検化合物のS9mixによる代謝産物は、変異原性を示さない。
正解.1, 3
解 説
TA 100 型である、という事からこの Ames 試験は、被験化合物の塩基対置換を引き起こす度合いを試験することが目的です。
選択肢 1 は、その通りの記述です。
選択肢 2 ですが
復帰変異部位では、DNA 配列は塩基対置換が起きている、つまり変化していると考えられます。少なくとも、常に同一では、ありません。よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 は、その通りの記述です。
選択肢 4 ですが
可溶性画分については、下図を参照してください。
S9 mix とは、9000 g で遠心した時の上澄みに NADPH などを加えたものです。従って、可溶性画分だけでなく、ミクロソーム画分も入っています。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
S9 mix 添加系でも、復帰変異コロニーが増えていることが図から読み取ることができます。つまり、代謝前の物質と比べると低いけれど変異原性が、代謝物にもあると考えられます。よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 1,3 です。
類題 97 – 44
コメント