問 題
電気泳動法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- イオン性物質の移動速度は電場の強さに比例する。
- SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動では、タンパク質は陽極から陰極に向かって泳動される。
- SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動では、ゲルの濃度が高いほど、タンパク質の移動度が大きくなる。
- 等電点電気泳動では、電極間にpH勾配を形成させてタンパク質の分離を行う。
- アガロースゲル電気泳動でDNAを分離するには、試料に臭化エチジウムを加える必要がある。
正解.1, 4
解 説
選択肢 1 は正しい記述です。
電気泳動法において、物質の移動速度に関しては、以下の式で表わされる関係が知られています。
移動速度 v は電場は Eに比例しています。
選択肢 2 ですが
タンパク質は、陽極に向かって移動します。タンパク質が陽極へ向かう理由ですが、SDS-PAGE において対象タンパク質が、周囲を SDS に取り囲まれ SDS が帯びている負電荷をまとうためです。つまり、負電荷を帯びているため、陽極(+)へと引きつけられることになります。よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
ゲルの濃度が上がるというのは、粘度が上がるということです。選択肢 1 で取り上げた式によれば、移動速度と粘度は反比例の関係です。つまり、 v は減少すると考えられます。よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 は、正しい記述です。
等電点電気泳動とは、pH 勾配 による分離です。
選択肢 5 ですが
臭化エチジウムは、DNA の存在を検出する蛍光試薬です。DNA の溝部分にインターカレート(挿入)されて後に UV を照射することで、光って見えます。分離するために必要な試薬というわけではありません。(余談ですが、DNAの泳動で、ゲル電気泳動し終わって UV 当ててみたら何にも見えず、がっかり → エチブロ(臭化エチジウムの略称です)入れ忘れてた・・・などという経験は、一度はあるのではないでしょうか・・・。)よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 1,4 です。
類題 97ー4
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