薬剤師国家試験 第100回 問230-231 過去問解説

 問 題     

11歳男児。給食後の体育の授業中に、顔面、頸部、躰幹にじん麻疹が突然出現し、意識消失により病院へ搬送された。その後、入院加療により改善し、退院時にアドレナリンの自己注射薬の処方を受けた。

問230

この患者は、アドレナリンの自己注射薬を初めて携帯することになった。注射薬交付にあたって指導すべき内容に関して適切でないのはどれか。2つ選べ。

  1. 必ず本人が自己注射してください。
  2. 使用後は、症状が改善しても必ず医療機関で診察を受けてください。
  3. 小学生なので、臀部に注射してください。
  4. 緊急時には衣服の上から注射しても大丈夫です。
  5. 有効期限が切れる前に、医療機関を受診して新しい製品の処方を受けてください。

問231

この症状の原因となる可能性が高い特定原材料及びそれらを用いた加工食品の表示に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 食品衛生法で、当該原材料を含む旨の表示が義務付けられている。
  2. 現在、表示が義務付けられている特定原材料は、えび、かに、たこなど7品目である。
  3. 当該原材料が重量で5%以上含まれている場合に表示義務が生じる。
  4. 対面販売や量り売り販売の場合は、表示義務はない。
  5. 当該原材料を使用した食品添加物については、表示が免除されている。

 

 

 

 

 

正解.
問230:1, 3
問231:1, 4

 解 説     

問230

選択肢 1 は、不適切な選択肢です。
本人が注射できない時は、保護者や教職員などが注射を行います。

選択肢 2 は、正しい選択肢です。
あくまでもアドレナリン自己注射は、医師の治療を受けるまでの間症状の進行を一時的に緩和し、ショックを防ぐ目的の補助治療剤です。速やかに医療機関で診察を受ける必要があります。

選択肢 3 は、不適切な選択肢です。
注射部位は、吸収速度が最大であることから、腕やおしりではなく、ふとももに打ちます。

選択肢 4,5 は、正しい選択肢です。

以上より、正解は 1,3 です。

問231

選択肢 1 は、正しい選択肢です。

選択肢 2 ですが
7品目は正しいのですが、たこは入っていません。えび、かに、卵、乳、小麦 (症例数が多いもの) に加え、そば、落花生 (症状が重篤、生命に関わり 特に留意が必要) が 特定原材料として、表示が義務化されています。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
重量によらず、表示義務が生じます。ちなみに、重量のうち5%以上かが問題となるのは、複合原材料の、占める割合が3位以下の場合の表示です。(国試では、まったく気にする必要なし。)よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は、正しい選択肢です。
ただし、健康被害防止のために、品書きやメニュー等を通じた情報提供の充実などの自主的な取り組みが消費者庁により推奨されています。

選択肢 5 ですが
特定原材料に由来する食品添加物は、原則として「物質名(~由来)」の表示が必要です。表示が免除されている、というわけではありません。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1,4 です。

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