薬剤師国家試験 第100回 問232-233 過去問解説

 問 題     

41歳男性。山歩きの時に採取したきのこや山菜を、おひたしにしてその日の夕食で食べたところ、1時間後に口唇のしびれが出現した。症状が次第に悪化し、激しい嘔吐、四肢のしびれ、呼吸困難を起こしたため、救急搬送された。

病院到着時に重篤な心室性不整脈が出現したため、アミオダロン塩酸塩注射液が投与された。

問232

アミオダロン塩酸塩注射液を使用する際の注意事項として、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 希釈する場合は、生理食塩液を用いる。
  2. 点滴静注する場合は、滴下型の持続注入ポンプを使用する。
  3. 投与開始後は、心電図の連続監視下で患者の状態を把握する。
  4. 投与開始後は、肝機能モニタリングを実施する。

問233

植物とその有毒成分の組合せのうち、本症状の原因として最も可能性が高いのはどれか。1つ選べ。

  •   植物      有毒成分
  1. ツキヨタケ     イルジンS
  2. タマゴテングタケ  α-アマニチン
  3. ジギタリス     ジギトキシン
  4. ワラビ       プタキロシド
  5. トリカブト     アコニチン

 

 

 

 

 

正解.
問232:3, 4
問233:5

 解 説     

問232

選択肢 1 ですが
アミオダロンの希釈を 0.9% 塩化ナトリウム溶液(生理食塩液)で行うと溶液中に沈殿が生じることから、生理食塩液に溶解して投与してはならないと規定されています。5% ブドウ糖注射液に溶解して用います。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
アミオダロンの投与方法は、容量型の持続注入ポンプを用いることとされています。これは、ブドウ糖で希釈した結果、溶液に粘性があるために 滴下型では、誤差が生じて過小投与になることを避けるためです。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3,4 は正しい選択肢です。

以上より、正解は 3,4 です。

問233

選択肢 1 ですが
イルジンS は、下痢や嘔吐が主要な中毒症状です。しびれや呼吸困難、不整脈が生じていることから誤りであると考えられます。

選択肢 2 ですが
アマニチンは、激しい嘔吐、水様性の下痢などのコレラ様の症状が特徴です。しびれや呼吸困難、不整脈が生じていることから誤りであると考えられます。

選択肢 3 ですが
ジギタリスにはジギトキシンが、特に葉に多く含まれています。おひたしにした、ということでありえる選択肢ですが、口唇のしびれは症状として知られておらず誤りではないかと考えられます。

選択肢 4 ですが
プタキロシドは、発がん物質として知られています。本問題のような、急性の症状は考えづらく誤りであると考えられます。

選択肢 5 は、正しい選択肢です。
イオンチャネル活性化による脱分極によって、しびれや心臓発作などの症状を引き起こします。

以上より、正解は 5 です。

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