問 題
医師から組換え医薬品に関する情報を求められた。そこで、薬剤師が組換え医薬品について情報収集を行った。
問200
組換え医薬品に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- キメラ型の抗体医薬品は、ヒト由来の可変領域とマウス由来の定常領域を有する。
- 組換え型ワクチン(ウイルス様粒子ワクチン)は、生ワクチンと比較してワクチンに由来する感染症への感染リスクが低い。
- 組換え医薬品には、ステロイドホルモン、血液凝固因子、血小板活性化因子、サイトカイン、モノクローナル抗体などがある。
- がん治療に用いられる抗体医薬品の標的には、細胞表面抗原や増殖因子、血管新生に関わる分子などがある。
問201
組換え医薬品に分類される抗体医薬品は凍結乾燥品であることが多い。組換え医薬品の凍結乾燥に関する記述の①、②の組合せとして適切なのはどれか。1つ選べ。
水に溶けている試料の凍結乾燥品を調製する場合、水の変化を表す主たる現象は( ① )である。また( ① )の現象の転移エンタルピーは、( ② )のプロットの傾きから求められる。
ただし、相転移温度と蒸気圧との関係は、次に示すクラペイロン・クラウジウスの式により表される。
- p:圧力
- T:温度
- ΔtrsH:転移エンタルピー変化
- R:気体定数
- ① ②
- 昇華 x軸:1/T2、y軸:1/p
- 蒸発 x軸:1/T2、y軸:1/p
- 昇華 x軸:T2、y軸:p
- 蒸発 x軸:T2、y軸:p
- 昇華 x軸:1/T、y軸:ln p
- 蒸発 x軸:1/T、y軸:ln p
正解.
問200:2, 4
問201:5
解 説
問200
選択肢 1 ですが
キメラ型の抗体医薬品は、ヒト由来の定常領域 とマウス由来の可変領域 を有します。ヒトとマウス、もしくは可変と定常が逆です。よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は、正しい選択肢です。
生ワクチンには、絶対的なリスクの大きさはとても低いものではありますが、他の種類のワクチンと比べると高い感染リスクがあります。
選択肢 3 ですが
組み換え医薬品とは、組み換え DNA 技術により生理活性タンパク質を人工的に製造し製造した医薬品のことです。ステロイドホルモンは、低分子化合物でありタンパク質では、ありません。従って、組み換え医薬品にステロイドホルモンは含まれません。よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 は、正しい選択肢です。
細胞表面抗原としては、CD 20 が代表例です。増殖因子としては EGFR が、血管新生に関わる分子としては VEGF が代表例です。
以上より、正解は 2,4 です。
問201
選択肢 を見ると、1 に入るのは「昇華」 か「蒸発」とわかります。昇華とは、固体-気体間の状態変化です。蒸発とは、液体→気体 の状態変化です。凍結乾燥している物体なのだから、固体からの変化なので、1は昇華です。
次に、与えられた式の両辺を積分した形は、以下のようになります。
参考) 物理化学 3-1 1)
よって、横軸を 1/T 、縦軸を ln P とした時、傾きが「-ΔH/R」 となり、R は定数なので
Δ H を計算することができる、ということがわかります。
以上より、正解は 5 です。
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