薬剤師国家試験 第104回 問177 過去問解説

 問 題     

放出制御型製剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 硫酸鉄を含むグラデュメット型製剤は、イオン交換樹脂に鉄を吸着させて、消化管内のイオンとの交換反応により徐放させる製剤である。
  2. パリペリドンを含む浸透圧ポンプ型製剤は、薬物とそれを押し出す駆動力となる電解質を高分子マトリックスに分散させた徐放性製剤である。
  3. チモロールマレイン酸塩と添加剤であるメチルセルロースを含む持続性点眼剤は、熱可逆的ゾル-ゲル相転移特性を利用して、結膜嚢での薬物の長時間滞留を可能にした製剤である。
  4. オキシブチニン塩酸塩を含む経皮吸収型貼付剤は、マトリックス型構造を有し、貼付後、血中薬物濃度を長時間維持できる製剤である。
  5. ブセレリン酢酸塩を含むエチレン・酢酸ビニル共重合体からなる生分解性マイクロカプセルは、皮下投与後、長期にわたり薬効を持続できる製剤である。

 

 

 

 

 

正解.3, 4

 解 説     

選択肢 1 ですが
グラデュメットは「多孔性プラスチック」のすき間に薬物を満たした錠剤です。拡散により徐々に薬物は放出されます。「イオン交換樹脂」ではありません。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
浸透圧ポンプ型製剤においては「錠剤内への水の侵入に伴い、薬物が溶出」します。「薬物を押し出す駆動力となる電解質」が分散させてあるわけではありません。よって、選択肢 2 は誤りです。(100-55

選択肢 3,4 は妥当な記述です。

選択肢 5 ですが
エチレン・酢酸ビニル共重合体は「経皮治療システムの放出制御膜基剤」として用いられます。つまりシップなどに用いられます。ブセレリン酢酸塩に用いられているのは乳酸・グリコール酸共重合体です。持続性注射剤用マイクロスフェアの基剤として用いられます。

以上より、正解は 3,4 です。
類題 102-175
参考 製剤学まとめ 代表的な放出制御型製剤

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