問 題
58 歳男性。身長 174 cm、体重 82 kg。仕事が忙しくなってストレスがたまり、暴飲暴食で早食いとなった。最近、胸やけとともに、口の中に酸っぱい液体が上がってくる感じがすることから、相談のために薬局を訪れた。
服用薬を確認したところ、近隣のドラッグストアで購入した酸化マグネシウムを服用していたが、症状は改善しなかったとのことであった。そこで、医療機関への受診を勧めた。
近医にて内視鏡検査の結果、胃食道逆流症と診断され、以下の処方箋を持って再び薬局を訪れた。
| オメプラゾール錠 20 mg | 1 回 1 錠( 1 日 1 錠) |
| 1 日 1 回 朝食後 14 日分 |
問208
処方されたオメプラゾールは強酸による活性化を受けて効果を発揮する。下図は、その化学変換を示しており、生成した活性体 C が不可逆的に H+, K+-ATPアーゼプロトンポンプ(ATPase)を阻害する。
この反応過程において、強酸性条件下により増大する性質はどれか。 1 つ選べ。

- A のアの窒素原子の求核性
- A のイの炭素原子の求電子性
- B のウの窒素原子の求電子性
- B のエの硫黄原子の求核性
- C と反応する ATPase の SH 基の求電子性
問209
この患者に対する指導として適切なのはどれか。 2 つ選べ。
- 胃で錠剤から成分が溶けだして胃粘膜に直接作用するので、即効性があります。
- 本剤の成分は胃で分解されると効果が落ちるため、酸化マグネシウムを同時に服用してください。
- 効果には個人差があるので、次回、効果について聞かせてください。
- 飲み忘れた時には、次に飲む時間が近い場合を除いて、気がついた時にできるだけ早く服用してください。
- 炭酸飲料を積極的に飲むようにしてください。
問208:2
問209:3, 4
解 説
問208
選択肢 1 ですが
アの窒素原子は、強酸性下で求電子性が増大したイの炭素を分子内攻撃する「求核剤」として機能します。強酸性条件によって直接その求核性が増大するわけではありません。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は妥当です。
強酸性下でより、イ の炭素に隣接する窒素がプロトン化されて正電荷を帯び、結果として イ の炭素原子の電子密度が低下し、求電子性が顕著に増大します。
選択肢 3,5 ですが
B の ウ の窒素原子 及び SH 基は 求核剤として機能します。強酸性条件下であろうがなかろうが、求電子性の原子ではないため、増強はしません。選択肢 3,5 は誤りです。
選択肢 4 ですが
エの硫黄原子は、後続の反応で求核攻撃を受ける部位です。強酸性条件下であろうがなかろうが、求核性の原子ではないため、増強はしません。選択肢 4 は誤りです。
以上より、問 208 の正解は 2 です。
問209
選択肢 1 ですが
オメプラゾールは腸溶性です。「胃で錠剤から成分が溶けだして胃粘膜に直接作用」ではなく、不適切です。また、即効性はなく、効果発現まで数日かかります。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
腸溶性コーティングが施されており、胃酸での分解防止目的の酸化マグネシウム服用は不要です。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3,4 は妥当です。
PPI の効果や代謝には個人差があるため、次回効果を確認することは適切です。
また、飲み忘れた場合は、気づいた時にできるだけ早く 1 回分を服用します。絶対に 2 回分を一度に服用してはいけません。
選択肢 5 ですが
胃食道逆流症なので、炭酸飲料は酸逆流を悪化させる原因となります。「炭酸飲料を積極的に飲むように」という指導は不適切です。選択肢 5 は誤りです。
以上より、問 209 の正解は 3,4 です。

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