問 題
66 歳女性。12 月下旬、忘年会で海産物を食べた後、嘔吐と下痢で内科を受診し、ノロウイルス感染症と診断された。この女性は、医療機関で点滴を受けた後、処方箋を薬局に持参した。
トイレを借りたいと申し出があり、薬局スタッフが案内する途中で嘔吐した。その後、トイレの便器でも嘔吐したため、薬局スタッフが吐瀉物の処理を行うことになった。
問232
薬剤師がこの薬局スタッフに指示した内容として適切なのはどれか。 2 つ選べ。
- マスク、ゴム手袋、エプロン及びフェイスシールドを着用する。
- 吐瀉物の処理は、感染拡大防止のため窓を閉め切って行う。
- 患者が触れた手すりやドアノブの消毒は、ベンザルコニウム塩化物液で行う。
- 洋式便座の消毒は、グルタラール液で 2 度拭きする。
- 吐瀉物が付着した白衣の消毒は、0.1 % 次亜塩素酸ナトリウム液への浸漬により行う。
問233
その後、軽快したこの女性が感謝の気持ちを伝えたいと再び来局したときに、食中毒の種類や相違について質問した。薬剤師が説明した内容として、適切なのはどれか。 2 つ選べ。
- ノロウイルス食中毒は、生のカキ(牡蠣)などの喫食で発生することがあるが、食前加熱(85℃、 5 分間)することで防ぐことができる。
- 嘔吐型セレウス菌食中毒は、チャーハンなどの喫食で発生することがあるが、調理後室温で長時間放置しても再び加熱(85℃、 5 分間)することで防ぐことができる。
- ウェルシュ菌食中毒は、カレーなどの喫食で発生することがあるが、調理後室温で長時間放置しても再び加温(45℃、 5 分間)することで防ぐことができる。
- カンピロバクター食中毒は、生肉などの喫食で発生することがあるが、食品を冷凍(-20℃、48 時間)することで防ぐことができる。
- アニサキスによる食中毒は、鮮魚などの喫食で発生することがあるが、食品を冷凍(-20℃、48 時間)することで防ぐことができる。
問232:1, 5
問233:1, 5
解 説
問232
選択肢 1 は妥当です。
飛沫からも感染するため、感染防止のための指示として適切です。
選択肢 2 ですが
換気を良くして処理するように指示します。「窓を閉め切って行う」のは不適切です。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
ベンザルコニウム塩化物は、ノロウイルスには無効です。次亜塩素酸ナトリウム液での消毒が妥当です。
選択肢 4 ですが
グルタラールは医療機器などの消毒に用いられる消毒薬です。人体や環境への毒性が強いという特徴があります。後に人体が触れる 便座 の消毒には不適切です。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は妥当です。
吐瀉物が付着した白衣への消毒方法として適切な指示です。なお、次亜塩素酸ナトリウムを使用する場合は漂白作用による色落ちや生地の損傷が生じる点に注意が必要です。加熱処理や熱湯処理も代替案として考えられます。
以上より、問 232 の正解は 1,5 です。
類題 109-88
https://yaku-tik.com/yakugaku/109-088/
問233
選択肢 1 は妥当です。
食前加熱により、ノロウイルス食中毒は防ぐことができます。
選択肢 2 ですが
嘔吐型セレウス菌が産生する毒素は耐熱性です。そのため、再加熱 (85℃・5分) では失活せず、中毒を防ぐことはできません。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
ウェルシュ菌は芽胞を形成し、耐熱性があります。加温 (45℃、5 分間) では殺菌できず、中毒を防げません。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
カンピロバクターは冷凍しても完全には死にません。そのため「食品を冷凍 (-20℃、48 時間) することで防ぐことができる」わけではありません。冷凍ではなく「中心部まで十分に加熱 (75 ℃ 1 分以上)」が必要です。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は妥当です。
アニサキス幼虫は、冷凍か、加熱 (60 ℃ 1 分間) で死滅します。
以上より、問 233 の正解は 1,5 です。
参考 細菌性・ウイルス性食中毒
https://yaku-tik.com/yakugaku/es-1-3-2/

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