問 題
85 歳男性。身長 165 cm、体重 82 kg、BMI 30.1。 2 型糖尿病の既往があり、処方 1 及び処方 2 の薬剤で治療中である。
| ダパグリフロジンプロピレングリコール錠 5 mg | 1 回 1 錠( 1 日 1 錠) |
| 1 日 1 回 朝食後 28 日分 |
| メトホルミン塩酸塩錠 500 mg | 1 回 1 錠( 1 日 2 錠) |
| 1 日 2 回 朝夕食後 28 日分 |
2 ケ月前より、微量アルブミン尿がみられたため、糖尿病性腎症の進行抑制を目的として処方 3 が追加された。
| リシノプリル錠 5 mg | 1 回 1 錠( 1 日 1 錠) |
| 1 日 1 回 朝食後 28 日分 |
3 日前より、下痢と食欲不振が続き、水分摂取も十分にできていなかった。来院当日、全身倦怠感、口渇、悪心、軽度の呼吸苦を訴え、救急搬送された。来院時には、以下の身体所見及び検査結果が得られた。
(身体所見)
血圧 95/62 mmHg、呼吸 26 回/分、口腔内乾燥、皮膚冷感
(検査値)
Na 132 mEq/L、K 5.2 mEq/L、Cl 105 mEq/L、空腹時血糖 220 mg/dL、血清クレアチニン 2.10 mg/dL、血中ケトン体(-)、AST 35 IU/L、ALT 40 IU/L、動脈血 pH 7.25(基準範囲 7.35-7.45)、PaCO2 18 mmHg(基準範囲 35-45 mmHg)、HCO3− 10 mEq/L(基準範囲 22-26 mEq/L)、乳酸 203 mg/dL(基準範囲 3.7-16.3 mg/dL)
問274
来院時、この患者に生じている症状として最も適切なのはどれか。 1 つ選べ。
- 代謝性アルカローシス
- 糖尿病ケトアシドーシス
- 乳酸アシドーシス
- 呼吸性アルカローシス
- 遠位型尿細管性アシドーシス
問275
薬剤師は処方 1 又は処方 2 の薬剤の副作用を疑い、注意事項等情報(添付文書)等から薬物動態に関する下表の情報を得た。

この患者に生じている症状の原因と考えられる薬物とその理由として、最も可能性が高い組合せはどれか。 1 つ選べ。
- 薬物 ― 理由
- ダパグリフロジン ― 消化管吸収量の増大
- メトホルミン ― 消化管吸収量の増大
- ダパグリフロジン ― 肝代謝の低下
- メトホルミン ― 肝代謝の低下
- ダパグリフロジン ― 腎排泄の低下
- メトホルミン ― 腎排泄の低下
問274:3
問275:6
解 説
問274
乳酸値が高く、アシドーシスだから乳酸アシドーシスと考えたのではないでしょうか。他の選択肢について、以下説明していきます。
pH 7.25 は、基準値よりも 酸性側です。従って、アシドーシスです。アルカローシスではありません。選択肢 1,4 は誤りです。
選択肢 2,5 ですが
ケトアシドーシスは、インスリン不足により組織における糖利用が低下 → 補償機構として脂肪酸分解(β 酸化)が進む → 代謝物であるケトン体の生成が亢進し、血液の pH が酸性に偏る という流れです。「血中ケトン体」が- であるため、ケトアシドーシスではありません。
また、遠位型尿細管性アシドーシスは、腎臓の遠位尿細管における水素イオン(H⁺)の排泄障害が原因であるアシドーシスです。乳酸値は通常、正常範囲内です。本症例では乳酸値が高くなっており、遠位型尿細管性アシドーシスではありません。選択肢 2,5 は誤りです。
以上より、問 274 の正解は 3 です。
問275
糖尿病性腎症 → 3 日前から下痢や食欲不振 (シックデイ) 、脱水状態 → 急激な腎機能低下 (急性腎障害) → 腎排泄の低下 → 尿中未変化体排泄率が高いことから主に腎排泄される「メトホルミン」の血中濃度上昇による副作用 という流れと推測されます。
以上より、問 275 の正解は 6 です。

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