薬剤師国家試験 第110回 問111 過去問解説

 問 題     

心筋の興奮と収縮に関する記述として、正しいのはどれか。2 つ選べ。

  1. 洞房結節に生じた電気的興奮は、心房内を伝わり房室結節を経て心室筋へと伝わる。
  2. 電位依存性 Kチャネルの活性化により、心室筋に脱分極が生じる。
  3. 心室筋の脱分極に伴って増加した細胞内の Ca2がトロポニンに結合することによって、心室筋が収縮する。
  4. 心室筋の脱分極によって、P 波が心電図に記録される。
  5. 心拍数を増加させる心臓血管中枢からのシグナルは、迷走神経を介して伝わる。

 

 

 

 

 

正解.1, 3

 解 説     

選択肢 1 は妥当です。
ペースメーカーとして自律的に興奮するのが、右心房上部の洞房結節です。


選択肢 2 ですが

心室筋の脱分極に対応するのは、心電図の QRS 波部分です。これは Na チャネルの開口 (活性化) によるものです。「K チャネル」ではありません。選択肢 2 は誤りです。

参考:心電図イメージ

選択肢 3 は妥当です。
心室筋収縮についての記述です。


選択肢 4 ですが

心室筋の脱分極と対応するのは QRS 波です。P 波ではありません。選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 ですが

心臓血管中枢は 延髄にあります。中枢から 心拍数を増加させるシグナルを伝達するのは 交感神経系です。

一方、迷走神経についてですが「採血等で、迷走神経反射 (迷走神経系の一部が活性化) による一時的血圧低下等でめまいや失神がおきる」事例を想起できるとよいです。迷走神経系は副交感神経系に属します。

従って「心臓血管中枢からのシグナルは、迷走神経を介して伝わる」わけではありません。選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 1,3 です。

参考 心臓の機能と構造
https://yaku-tik.com/yakugaku/sk-1-5-1/

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