薬剤師国家試験 第110回 問344 過去問解説

 問 題     

32 歳女性。半年前に家族性高コレステロール血症と診断され、生活習慣の改善及び以下の処方の薬剤による治療を行っている。冠動脈疾患の既往歴はない。

LDL – C は管理目標値まで下げることができたが、本日の診察の際に患者から「妊娠の可能性がある」との報告があり、薬剤の変更が検討された。

(検査値)

血圧 122/74mmHg、LDL-C 80mg/dL、HDL-C 75mg/dL、TG(トリグリセリド) 80mg/dL

この患者に提案できる治療薬はどれか。1 つ選べ。

  1. ロスバスタチン
  2. プロブコール
  3. コレスチミド
  4. ペマフィブラート
  5. ロミタピド

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

スタチンやフィブラートは妊婦に対して原則禁忌です。

ロミタピドは ミクロソームトリグリセリド転送タンパク質(MTP)阻害薬です。ホモ接合体家族性高コレステロール血症に適応があります。

妊婦に対して禁忌であり、また 服用中に嘔吐や下痢が発現した場合に、経口避妊薬からのホルモン吸収が不完全になるおそれがあります。避妊薬単独での避妊を避けるよう注意する薬です。

従って
選択肢 1,4,5 は誤りです。


選択肢 2,3 について

プロブコールも妊婦禁忌ですが「スタチンやフィブラートが妊婦禁忌」であることと比較すると自信を持って判断できなかった人もいたと思われます。2 択までしぼれば 勘 でも良いです。以下は参考例としてみてください。

選択肢 2,3 に関する本番での推測例:コレスチミドは陰イオン交換樹脂です。これは基礎知識です。作用機序が「消化管における胆汁酸吸着」であり、ほぼ体内に吸収されないこと などから「妊婦への影響は他の薬と比較して相対的に小さく、使用が適切ではないか」と考える流れがあげられます。一例として、参考になれば幸いです。


以上より、正解は 3 です。

類題 97-196197 コレスチラミドの処方追加
https://yaku-tik.com/yakugaku/97-196/

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