問 題
70 歳男性と 60 歳女性の夫婦。2 人で、打たせ湯のある温泉施設に日帰り旅行へ行ったところ、翌日夜に女性は全身倦怠感と頭痛を伴う発熱の症状を呈したが、自宅療養し、2 日後に回復した。
一方、男性は旅行から帰った 5 日後に発熱し、呼吸困難感、湿性咳嗽と胸痛の症状が見られたため、医療機関を受診したところ、肺炎と診断され入院となった。
男性は身長 165 cm、体重 53 kg。入院時の各種検査結果は以下のとおりである。さらに、この男性が罹患している疾病に関して、尿中抗原検査及び喀痰の遺伝子増幅法検査を追加で施行した結果、いずれも陽性となった。
夫婦は同じ病原体に罹患し、女性はポンティアック熱であったと考えられた。
問228
この男性患者に対する治療薬として最も適切なのはどれか。1 つ選べ。
- レボフロキサシン
- オセルタミビル
- アモキシシリン
- セフジニル
- ニルマトレルビル・リトナビル
問229
この男性患者が罹患した疾病に関する記述のうち、正しいのはどれか。2 つ選べ。
- 感染症法(注) において三類感染症に分類される。
- 高齢者や免疫力の低下した人がかかる日和見感染症である。
- ビル空調機の循環冷却水や加湿器から発生するエアロゾルを吸入することで集団発生しやすい。
- 罹患者の飛沫によって、直接他者へ感染する。
- ワクチン接種により予防することができる。
(注) 感染症法:感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
正解.
問228:1
問229:2, 3
解 説
問228
温泉施設への旅行後ということから、夫婦共にレジオネラ症と考えられます。原因菌であるレジオネラ属菌に対して、マクロライド系、ニューキノロン系抗菌薬が用いられます。
レジオネラ症は、肺炎型とポンティアック熱型に大別されます。ポンティアック熱は潜伏期間 1 ~ 2 日で、数日で自然治癒します。
選択肢 1 は妥当です。
レボフロキサシンは、ニューキノロン系抗菌薬です。
選択肢 2,5 ですが
オセルタミビル、ニルマトレルビル・リトナビルは抗ウイルス薬で不適切です。
選択肢 3,4 ですが
アモキシシリン、セフジニルは共に β ーラクタム系です。不適切です。
以上より、問 228 の正解は 1 です。
類題 108-272273
https://yaku-tik.com/yakugaku/108-272/
参考 病態まとめ 肺炎等
https://yaku-tik.com/yakugaku/bt-3-3-3/
問229
選択肢 1 ですが
レジオネラ症は、感染症法上の四類感染症です。三類感染症ではありません。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2,3 は妥当です。
レジオネラ属菌が混入したエアロゾルを吸入すると、日和見感染症として肺炎を引き起こすことがあります。
選択肢 4 ですが
レジオネラ属菌はヒトからヒトへ感染することはありません。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
現在、レジオネラ属菌の感染予防のためのワクチンはありません。選択肢 5 は誤りです。
以上より、問 229 の正解は 2,3 です。
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