薬剤師国家試験 第108回 問185 過去問解説

 問 題     

冠攣縮性狭心症の病態と治療に関する記述として、正しいのはどれか。1 つ選べ。

  1. 心筋の壊死をきたす。
  2. 発作は 1 時間以上持続する。
  3. 発作は夜間や早朝に生じることが多い。
  4. 非発作時でも、心電図異常を認める。
  5. 発作予防には、アドレナリン β 受容体遮断薬が有効である。

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

「冠攣縮」なので、心臓を取り囲む冠動脈が痙攣 → 血流不全 → 心筋虚血で痛みや圧迫感という流れです。

選択肢 1 ですが
心筋壊死をきたすわけではありません。壊死するのは、心筋梗塞です。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
狭心症は、数分~長くても数十分程度でおさまります。「1時間以上持続する」わけではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当です。
夜間や早朝 → 副交感神経優位 → Ach 分泌↑ → 冠動脈の血管内皮細胞機能が正常であれば,、アセチルコリンはムスカリン受容体の刺激により内皮細胞から平滑筋を強力に弛緩する内皮由来 NO を分泌 → 冠動脈拡張 という流れ。 しかし、動脈硬化などで血管内皮細胞の機能異常 → Ach による 血管収縮の方がより前面に出てくる という流れです。

選択肢 4 ですが
非発作時には、特に異常認められません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
冠攣縮性狭心症なので、Ca 拮抗薬が妥当です。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

参考 病態・薬物治療学まとめ 虚血性心疾患の病態生理、治療薬、注意点

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