薬剤師国家試験 第108回 問182 過去問解説

 問 題     

BCS (Biopharmaceutics classification system) 分類とは、薬物を溶解性と膜透過性に基づいて 4 つに分類したものである。溶解性は低いが膜透過性が高い Class 2 の薬物 X を含有する経口固形製剤Aについて、以下のデータが得られている。

製剤Aにおける吸収改善の機構と最も関連の深いのはどれか。1つ選べ。

ただし、薬物Xとしての経口投与量は同一とする。

  1. 塩の形成
  2. 無水物化
  3. 共結晶化
  4. 溶媒和物
  5. 固体分散体

 

 

 

 

 

正解.5

 解 説     

問題文 及び 図から、状況が少しわかりにくい問題であったかもしれません。

・水とかに溶けにくいが、膜透過性は高い薬物 X がある。
・X を含有するような、経口固形製剤 A がある。 という前提です。


図が3つありますが
・粉末 X 線回析をすると、薬物 X の微粒子と、製剤 A では全然結果が違う。

・薬物 X の微粒子に対して溶出試験をすれば、薬物濃度は当然、溶解度にだんだん近づいていくが、製剤 A にすると、びっくりの結果で、溶解度をはるかに超えた所まで一時的に溶ける。つまり、過飽和がおきるような製剤。(難溶性の物質に対して、こんな形で製剤技術でスパーンと改善できたら、製剤科学者として、楽しいでしょうね!)。

・単に溶けてるだけじゃなくって、製剤 A で投与すると、薬物 X の微粉末投与するよりも、血中薬物濃度もちゃんと増加することがわかっている。

という図です。


選択肢を見ると

溶かした結果や 粉末 X 線回析しかないので、塩の形成を行ったり、無水物化したり、溶媒和物を作ったりしたかどうか、というのはわかりません。従って、共結晶化 か 固体分散体と絞れます。

さらに、共結晶化であれば、粉末 X 線回折測定の結果は、シャープなピークが見られるはずです。製剤 A は回折強度がなだらかなピークをしていることから、結晶ではないと考えられます。

以上より、正解は 5 です。

参考 104-173 粉末 X 線回折パターンの例
参考 97-174 薬物の溶解及び製剤からの放出 

コメント

  1. Zion より:

    解説が問181と同じものになっています。お手隙の際にご対応いただけますと幸いです。
    また、問34が404not foundなので、こちらもお目通しいただけると助かります。

  2. kazupiko より:

    本ページの解説、及び 問 34 について修正いたしました。
    コメントありがとうございます!