問 題
33歳女性。最近体重が減少し、手指振戦、動悸、多汗があるため受診した。身体所見として眼球突出、びまん性甲状腺腫がありバセドウ病と診断され、薬局に以下の処方箋を持参した。
なお、患者は動悸や振戦がひどくて辛いと話している。検査値等は以下のとおりである。
(検査値)
脈拍数 115拍/分、遊離サイロキシン(FT4) 4ng/dL、遊離トリヨードサイロニン (FT3) 10 pg/mL、甲状腺刺激ホルモン(TSH) 0.05 μU/mL以下、TSH 受容体抗体陽性
問258
処方 1 及び処方 2 のいずれかの薬物の作用に関する記述のうち、正しいのはどれか。2 つ選べ。
- 分解酵素活性化によるトリヨードサイロニンの分解促進
- 合成酵素阻害によるサイロキシンの合成阻害
- TSH 受容体遮断による振戦の改善
- アドレナリン β1 受容体遮断による動悸の改善
- アドレナリン β2 受容体遮断による甲状腺ホルモンの遊離抑制
問259
この患者への薬剤師の対応として、適切なのはどれか。2 つ選べ。
- 妊娠の有無を再確認する。
- 服用開始後 2 ヶ月間は原則として 2 週に 1 回、白血球や好中球の検査が必要と伝える。
- 手指振戦や動悸の軽減には通常数週間かかると伝える。
- 処方薬服用後に発熱しても、それはバセドウ病の症状であり、薬の副作用ではないと伝える。
- 手指振戦等の自覚症状がなくなったら、両処方の服用は終了すると伝える。
正解.
問258:2, 4
問259:1, 2
解 説
問258
チアマゾールは
ペルオキシダーゼを阻害し、甲状腺ホルモンの産生を抑制する薬です。対応する選択肢 は 2 です。
プロプラノロールは
β 遮断薬です。動悸改善が目的と考えられます。対応する選択肢 は 4 です。
以上より、問 258 の正解は 2,4 です。
問259
バセドウ病治療薬であるチアマゾール、プロピルチオウラシルには、重大な副作用として無顆粒球症があります。すなわち、白血球数等が減少し、感染リスク増加がありえます。服用 3ヶ月程度まで特に注意が必要です。そのため、38℃以上の高熱が出たら、投与中止し直ちに来院するよう指導します。
また、年齢、性別から 妊娠有無の確認は必要と考えられます。
以上より、問 259 の正解は 1,2 です。
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