問 題
45歳男性。喫煙歴 20 年(1日 20 本)。20 歳代前半から血清コレステロールの高値を指摘されていたが、未治療のまま放置していた。男性は、会社の健康診断で LDL-C 値が 220 mg/dL であると指摘され、年齢のことも考慮し近医を受診した。
家族性高コレステロール血症と診断され、医師や薬剤師による生活習慣指導及び処方 1 による薬物治療が 6 ヶ月継続された。しかし、LDL-C 値が管理目標まで下がらなかったため、本日の診察で薬剤の追加が検討された。
生化学検査の結果、AST、ALT、総ビリルビンが高値を示し肝障害が疑われたため、処方 2 が追加された。なお、アドヒアランスは良好である。
(本日の検査値)
血圧 122/74 mmHg、LDL-C 130 mg/dL、HDL-C 40 mg/dL、TG(トリグリセリド) 100 mg/dL、AST 120 IU/L、ALT 125 IU/L、総ビリルビン 2.0 mg/dL、HbA1c 5.5% (NGSP値)
問208
生活習慣指導及び服薬指導の内容として、適切でないのはどれか。1つ選べ。
- 薬物治療だけでなく、禁煙することも重要です。
- 無酸素運動を中心に、毎日運動することが推奨されています。
- 家族性高コレステロール血症のLDL-C管理目標は、高LDLコレステロール血症の一次予防の目標より低く設定されています。
- お腹の痛みや張りを感じたときは、すぐに処方医又は薬剤師に連絡してください。
- 今回追加された薬剤は、脂溶性ビタミンの吸収を低下させる可能性があります。
問209
コレスチミドは腸管において、胆汁酸であるタウロコール酸の再吸収を阻害し、肝におけるコレステロールから胆汁酸への異化を促進する。
タウロコール酸の再吸収が阻害される機序に関する記述として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
- コレスチミドを触媒としてタウロコール酸が分解される。
- コレスチミドのヒドロキシ基とタウロコール酸のヒドロキシ基との間に水素結合が形成される。
- コレスチミドのカチオンとタウロコール酸のイオン化したスルホ基との間にイオン結合が形成される。
- コレスチミドのヒドロキシ基とタウロコール酸のスルホ基との間に水素結合が形成される。
- コレスチミドのヒドロキシ基とタウロコール酸のスルホ基がエステル結合を形成する。
正解.
問208:2
問209:3
解 説
問208
「無」酸素運動とは、短時間に強い力を発揮する運動です。推奨されるのは、週3日ほど、1日 30 分程度のジョギングなどの「有」酸素運動です。適切でないのは、選択肢 2 です。
以上より、問 208 の正解は 2 です。
問209
コレスチミドが、陰イオン交換樹脂であることは、基礎知識です。そのため「イオン結合」が形成される、という記述が妥当です。
以上より、問 209 の正解は 3 です。
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