薬剤師国家試験 第106回 問298-299 過去問解説

 問 題     

成人男性のHIV感染症患者が、発熱や乾性咳嗽の症状を訴え外来受診した。身体所見として、頭痛、嘔吐などの中枢神経症状はなかった。胸部X線検査で、両側びまん性のすりガラス陰影が認められた。この患者のCD4陽性リンパ球数は、120/μLであった。

なお下図は、感染時からの経過時間とCD4陽性リンパ球数との関係に、CD4陽性リンパ球数の減少に伴って発症する日和見感染症を示したものである。

問298

この患者の症状を引き起こした病原体として考えられるのはどれか。1つ選べ。

  1. カンジダ
  2. クリプトコッカス
  3. サイトメガロウイルス
  4. トキソプラズマ
  5. ニューモシスチス

問299

この患者の日和見感染症の治療に用いる薬剤として、適切なのはどれか。1つ選べ。

  1. アシクロビル錠
  2. アムホテリシンBシロップ
  3. スピラマイシン錠
  4. スルファメトキサゾール・トリメトプリム配合錠
  5. フルコナゾールカプセル

 

 

 

 

 

正解.
問298:5
問299:4

 解 説     

問298

症状、X 線検査から肺炎が連想されます。CD4 陽性リンパ球数が 120/μL と少なくなっており、日和見感染症に関する表を見ると、ニューモシスチス肺炎が疑われます。

以上より、正解は 5 です。

問299

ニューモシスチス肺炎に対する第一選択薬が ST 合剤と知っていればよいのですが、知らなくても作用機序から絞りたい問題です。抗真菌薬や、抗ウイルス薬は妥当ではありません。

選択肢 1 ですが
アシクロビルは抗ウイルス薬です。

選択肢 2,5 ですが
アムホテリシンB、フルコナゾールは、共に抗真菌薬です。

選択肢 3 ですが
スピラマイシンは、先天性トキソプラズマ症の発症抑制に用いられる薬です。母体から胎児への感染の抑制を目的として使用する薬剤です。

以上より、正解は 4 です。

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