問 題
27歳既婚女性。生理が遅れているため、自宅近隣のドラッグストアで、妊娠検査薬※を購入した。自宅でこの検査薬の説明書どおりに採尿部に尿をかけて、規定の時間が経過したのち反応を観察した。
※ 妊娠時にはヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)が分泌されることが知られており、尿中のhCGをイムノクロマトグラフィーで検出する妊娠検査薬が市販されている。
問196
次の模式図は、この女性が購入した妊娠検査薬の検出メカニズムを表している。以下の記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
- 抗体A:マウス抗 [ X ] 標識抗体
- 抗体B:マウス抗 [ X ] 抗体
- 抗体C:ウサギ抗 [ Y ] 抗体
- 目視で観測するため、抗体Aの標識には主に金コロイドが用いられる。
- [ X ] に入るのは、hCG である。
- [ Y ] に入るのは、ウサギ IgG である。
- 尿中の hCG 濃度が著しく高いとき、判定窓の線が濃く、終了確認窓の線が薄くなったり、消失したりする場合がある。
- 抗体Cの代わりに、hCG を用いることも可能である。
問197
検査薬を購入した女性は、表示された検査結果をみて、判定窓の線が薄かったことから不安を感じて、購入したドラッグストアに行った。この女性に対する薬剤師の対応として、適切なのはどれか。2つ選べ。
- この女性の月経周期がこれまで順調であったかどうかを確認する。
- 各窓の線が明瞭ではないため、妊娠の可能性はないと説明する。
- 線の色の濃淡によらず、妊娠している可能性があるため、受診を勧める。
- 妊娠初期では、尿中のhCGが少なく陰性となることもあるため、さらに1ヶ月以上あけてからの再検査が必要であると説明する。
- 妊娠していると判断し、母子手帳の交付を申請するよう勧める。
正解.
問196:3
問197:1, 3
解 説
問196
抗体 C は抗体 A と結合して複合体を形成すると図から読み取れます。すると抗体 C は「抗マウス~~抗体」のはずです。抗ウサギ IgG ではありません。選択肢 3 は誤りです。
以上より、正解は 3 です。
問197
選択肢 1 は妥当です。
妊娠検査薬で陽性が出たということは、尿中に hCG が含まれていたということです。hCG は受精卵が着床して初めて作られるホルモンです。妊娠4週目ごろから、検査に十分な量が尿中に出てきます。月経周期が不規則で、妊娠から十分時間がまだ経過していない時期に検査が行われた結果、hCG がまだ少量だったという可能性が考えられるため確認する事項です。
選択肢 2,3 ですが
線は薄くても濃くても、反応しており、陽性です。陽性が示すのは、尿中に hCG が含まれていた、ということです。選択肢 2 は誤りです。選択肢 3 は妥当です。
選択肢 4 ですが
前半部分は妥当です。後半部分ですが、陽性が出ているため、受信推奨です。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
妊娠検査薬における陽性反応は、あくまでも尿中に hCG が含まれていたことしか示しません。最終月経の初日を妊娠0週0日とした場合の、妊娠5~6週までの時期において、自然に一定確率でおきる、妊娠が継続できない化学流産もあり、妊娠検査薬の陽性が、妊娠しているという判断につながるわけではありません。あくまでも、受診の目安として使用するものである、という点に注意が必要です。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 1,3 です。
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