問 題
芳香族化合物A~Eの求電子置換反応によるモノブロモ化に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
- Aは主に3位で反応する。
- Bは主に2位又は4位で反応する。
- Cは主に3位で反応する。
- Dは主に2位で反応する。
- Eは主に1位で反応する。
解 説
選択肢 1 について、芳香族化合物の配向性として、
o,p 配向性を示す置換基には、-NH2、-OH、-OR、-NHCOR、-R、-Xなどがあります(Rはアルキル基、X はハロゲン)、m 配向性には、-NO2、-CN、-CHO、-COR、-COOH、-COOR などがあります。化合物 A は、上記のうち -NHCOR に当たるので、これはo,p 配向性を示します。よって、3 位よりも 2 位や 4 位で反応が起こります。
選択肢 2 についても、選択肢 1 と同様の知識で考えればよいです。-NO2 はm 配向性なので、化合物Bは主に 3 位で反応することになります。
選択肢 3 のフランも芳香族化合物で、求電子置換反応は 3 位ではなく 2 位で起こります。これは知識として知っておければよいのですが、そうでなくても、以下のような共鳴構造式を書けば、中間体の数から、化合物 C は 2 位での反応のほうが有利であることがわかります。
2 位への求電子置換
3 位への求電子置換
選択肢 4 は、選択肢 1 で記載した通りに考えると、-Cl も -OCH3 も o,p 配向性なので迷うかもしれません。しかし、-OCH3 は活性基である一方、-Cl は不活性基なので、この 2 つが競合する場合、-OCH3 の o,p 配向性が優先されます。よって、化合物 D は 2 位ではなく 3 位で反応が起こります。
選択肢 5 について、ナフタレンのブロモ化は 2 位よりも 1 位よりも起こりやすいのですが、これも選択肢 3 と同様、知識として覚えておけば役立つことも多いですし、知らなくても以下のような共鳴構造式を書けばわかります。
1 位への求電子置換
2位への求電子置換
上図をみると、1 位の中間体は 5 つのうち 2 つほど、芳香環を保っている構造があります。一方、2 位の中間体では芳香環が成立しているものが 1 つしかないので、より不安定といえます。以上より、より安定な 1 位への反応が優先されることになり、選択肢 5 が正しいことがわかります。
以上より、正解は 5 です。
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