問 題
23歳女性。母親に連れられて病院を受診した。母親の話では、幻覚や妄想と思われるような意味の分からないことを話すようになったとのこと。今年、大学を卒業して企業で働き始めたが、最近は欠勤気味であった。
患者は統合失調症と診断され、ハロペリドールによる治療を開始した。しかし、手の震えなどの錐体外路症状の訴えが患者からあったため、医師より代替薬について相談があった。
問252
この患者に対し、薬剤師が推奨できる薬物として適切なのはどれか。2つ選べ。
- ブロムペリドール
- スピペロン
- アリピプラゾール
- リスペリドン
- クロザピン
問253
医師に提案したそれぞれの薬物のもつ作用の特徴として、適切なのはどれか。2つ選べ。
- セロトニン5-HT2A受容体遮断作用
- ヒスタミンH1受容体遮断作用
- ドパミンD2受容体部分刺激作用
- アセチルコリンM1受容体遮断作用
- アドレナリンα1受容体部分刺激作用
正解.
問252:3, 4
問253:1, 3
解 説
問252
問 253 と合わせて解説します。
問253
統合失調症治療薬として、ドパミン遮断薬のハロペリドール使用中に、ドパミン遮断による運動機能系の副作用として、錐体外路症状の訴えがあったため、代替薬の相談があったという状況です。
問 252 の選択肢 の薬物について
ブロムペリドール、スピペロンは、共にブチロフェノン誘導体の一種です。ハロペリドール同様、強い D2 受容体遮断作用を持ちます。代替薬としては不適切と考えられます。
アリピプラゾールは、ドパミンD2受容体及びセロトニン5-HT1A 受容体に対して部分刺激薬として作用する、統合失調症治療薬です。代替薬として適切と考えられます。
リスペリドンは、SDA (serotonin-dopamine antagonist)です。SDA は、D2 及び5-HT2A 受容体遮断作用を持つ薬です。定型と呼ばれるハロペリドール等と比較して、錐体外路症状の副作用が少なくなっていることが知られており、代替薬として適切と考えられます。
クロザピン(クロザリル)は、治療抵抗性統合失調症の治療薬です。(99-258) 副作用回避のための代替薬としては不適切と考えられます。
以上より
問 252 の正解は 3,4 です。
問 253 の正解は 1,3 です。
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