薬剤師国家試験 第105回 問159 過去問解説

 問 題     

図はステロイドホルモン様の薬理作用をもつ薬物の化学構造を示したものである。この薬物の構造と薬理活性に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 1位と2位の炭素原子間が二重結合となっているため、鉱質コルチコイド作用が弱められ、糖質コルチコイド作用が強められる。
  2. 3位にC=Oをもつため卵胞ホルモン作用を有する。
  3. 9位の炭素原子にF原子が結合しているため、ほかの置換基の場合よりも鉱質コルチコイド作用が弱い。
  4. 11位の炭素上のOH基は糖質コルチコイド作用に必須である。
  5. 16位の炭素上のOH基は糖質コルチコイド及び鉱質コルチコイド作用に必須である。

 

 

 

 

 

正解.1, 4

 解 説     

選択肢 1 は妥当な記述です。
「A 環に二重結合2個 → 糖質コルチコイド作用増強、鉱質コルチコイド作用減弱」という関係が知られています。

選択肢 2 ですが
3位の C = O は、多くの糖質コルチコイドに共通しており、この構造と卵胞ホルモン作用の活性に相関は知られていません。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
「B 環に F 導入 → 糖質、鉱質コルチコイド作用共に増強」という関係が知られています。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当な記述です。

選択肢 5 ですが
16 位について「メチル化により、鉱質コルチコイド作用減弱」が知られています。OH 基が必須ではありません。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1,4 です。

コメント