問 題
70歳男性。脳腫瘍の疑いがあり、ガドペンテト酸ジメグルミン注射液を造影剤として用いてMRI検査を行うこととなった。男性は、2型糖尿病と高血圧症と診断され、以下の薬を1年間継続的に服用している。
MRI検査日1ヶ月前の検査値
血圧 154/86mmHg、ALT 12IU/L、AST 25IU/L、γ-GTP 27IU/L、eGFR 52mL/min/1.73m2、HbA1c 6.7%
MRI検査日の検査値
血圧 143/83mmHg、ALT 34IU/L、AST 34IU/L、γ-GTP 43IU/L、eGFR 27mL/min/1.73m2、HbA1c 7.0%
注) ガドペンテト酸ジメグルミン注射液の有効成分は、ガドペンテト酸メグルミンである。
問196
この男性の検査は中止になった。その理由として考えられるのはどれか。1つ選べ。
- 肝機能が低下しているので、ガドペンテト酸を代謝できない。
- 糖尿病が悪化し、患者の全身状態が悪い。
- 腎機能が低下しているので、腎性全身性線維症の発現リスクが高い。
- ガドペンテト酸メグルミンとメトホルミン塩酸塩により、乳酸アシドーシスが引き起こされる。
- ガドペンテト酸メグルミンがロサルタンカリウムの作用を阻害する。
問197
MRI及びMRI造影剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
- MRIでは放射線を使用しないが、X線による被曝を受ける。
- MRIでは、体内の水などの水素原子核の緩和時間の差を利用している。
- MRIでは、ドップラー効果により血流速度を測定することができる。
- ガドリニウム造影剤に含まれるGd3+イオンは、反磁性を示す。
- 硫酸バリウムはMRI造影剤として用いられる。
正解.
問196:3
問197:2
解 説
問196
70歳男性、糖尿病、高血圧で、降圧薬(ATⅡ拮抗薬)と糖尿病薬(ビグアナイド系+DPP4阻害薬)を服用中。検査値を見ると、血圧少し高めで安定、ALT、AST、γ-GTPは基準値の範囲内なので、肝機能に問題無い様子。eGFR(糸球体濾過量)50付近でやや腎機能低下が見られた所、30以下と減少しておりここ1ヶ月で腎機能の更なる低下が見られます。検査中止の理由は、腎機能の低下によるものと考えられます。
以上より、問196の正解は 3 です。
問197
選択肢 1 ですが
MRI で用いるのは磁場です。放射線やX線を照射するわけではなく、それらの被爆はありません。
選択肢 2 は、正しい選択肢です。
選択肢 3 は
超音波を使ったエコー検査に関する記述です。
選択肢 4 ですが
ガドリニウムは、「常」磁性を示します。すなわち、外部磁場と同じ方向の磁場を強めます。
選択肢 5 ですが
硫酸バリウムは、X線検査で用いられます。MRI 造影剤では、ありません。
以上より、問197の正解は 2 です。
コメント