国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H28年 問42解説

 問 題     

X 線及びその利用に関する記述㋐〜㋔のうち妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

㋐ X 線管から発生する X 線には、波長が連続的な連続 X 線のほか、陽極に用いる金属に固有な波長をもった特性(固有)X 線がある。
㋑ X 線管で生じる連続 X 線は、画像診断法の一つである X 線撮影の X 線源として医療用に用いられる。
㋒ 結晶試料に X 線を照射すると、試料中の原子核が強制振動を受け、入射X 線と同じ波長の散乱X 線が放射される。
㋓ 粉末 X 線回折法では、粉末結晶の試料から反射した散乱X 線が互いに強め合い、斑点状の回折像が得られる。
㋔ 粉末 X 線回折法では、試料が粉末なので、結晶形が異なる同じ組成の化合物は区別できない。

1.㋐、㋑
2.㋐、㋑、㋔
3.㋐、㋒、㋓
4.㋑、㋒、㋔
5.㋓、㋔

 

 

 

 

 

正解.1

 解 説     

㋐、㋑ は妥当な記述です。

㋒ ですが
振動するのは「原子核」ではありません。「電子」が振動します。よって、㋒ は誤りです。

㋓ ですが
斑点状の回折像が得られるのは、X 線「結晶」回折法の結果です。粉末 X 線回折の結果は、回折チャートです。ピークの位置パターンから様々な情報が読み取れます。よって、㋓ は誤りです。

㋔ ですが
チャートのピークパターンの違いを見ることで、いわゆる多形の区別、すなわち結晶系が異なる同組成の化合物を区別することができます。よって、㋔ は誤りです。

以上より、正解は 1 です。

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